突然の訃報
知人のHさんは旦那さんと二人で神奈川県で暮らしていました。
旦那さんの実家は山口県にあり毎年お盆とお正月に帰省していて、2週間後に迎える今年のお正月も義実家へ帰る予定でした。
そんな時、突然義父が亡くなったと連絡がありました。
「正月に帰る予定だったのに・・・」涙を浮かべながら、旦那さんとHさんは慌てて山口県へと向かいました。
葬式後
悲しいお別れが済んだ後、親族や近所の人が大勢集まり、久しぶりの再会に思い思い会話を楽しんでいました。
そんな時、誰かが「おい!そういえば墓はどうした?」と義母に問いかけました。
急な問いかけに戸惑い明らかに様子がおかしい義母。
その様子を見たHさんは心配になり「お義母さん、大丈夫ですか?まだ亡くなったばかりでお墓のことなんてすぐに考えられないですよね。」とフォローをしました。
一旦、その話はそこで流れたのですが、この後義母の発言にHさんは驚愕します・・・
お墓のこと
数か月前のこと。
義実家のお墓は山口県内でもかなり田舎の山奥にあり、義父と義母も高齢となったために、なかなか墓参りにも行けなくなっていました。
そこで義父は墓じまいをして、近所にできた霊園の土地を購入することにしました。
義母も納得し、土地を契約したはずだったのですが・・・
義母の告白
葬儀が終わり近所の人や友人たちが帰り、親族数名になった時、再びお墓の話になりました。
「それでお墓はどうなったの?」義父の妹が義母に問いかけました。
すると、義母が泣きながら告白したのです。
「お墓、建てられないの。土地売っちゃったから。。。。」
そこにいた全員が驚きました。
「え?売っちゃった?どうして?じゃあどこに・・・」
「お金が必要だったから・・・お父さん急に死んじゃうんだもの」と号泣する義母。
みんな頭が真っ白。泣いている義母の言ってることがよくわかりませんでした。
土地を売った理由とは・・・
義母が落ち着いて、ようやく土地を売った理由がわかりました。
それは、義父と義母の不思議な夫婦関係にありました。
義父と義母は籍は入っているものの仲が良かった訳ではなく家庭内別居状態でした。
そのため、義母には何十年も前から彼氏がいて、その存在は義父も承認していました。
どうやら、その彼氏が多額の借金を作っていた為に困り果て、返済のために土地を売って借金返済をしたというのです。
なんとも複雑な状況にHさんは言葉が見つかりませんでした。
その後とまとめ
どうにか親族の協力もあり、義父やご先祖様のお墓をたてられたそうですが、義母は一体どうするつもりだったんでしょうか。
そのお墓に自分もいつか入るだろうに・・・
それにしても、家族のかたちって色々あるんですね。
どんなかたちにせよ、身近な人を大切に日々を生きようと感じたエピソードでした。
ftnコラムニスト:うる