質素倹約を心掛けていた父が亡くなり遺品を整理していると、父がかなりの資産を持っていたことが発覚。多額の遺産があることがわかるまでは一切揉める気配がなかったのに、みんなが自分の取り分を主張し始めます。お金は人を狂わせてしまうんですね…。
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「お金がない」が口癖の質素倹約な父

生前、父はお金がないが口癖で、お金のある素振りはちっとも見せませんでした。私たち三兄弟を大学まで行かせてくれたことに感謝はしていますが、それ以外で援助してもらったこともなく、父はお金を持っていないだろうというのが家族の共通認識でした。

実はかなりの資産家であることが発覚

そんな父が亡くなったのは、冬の寒い日のことでした。そして亡くなった後で父の遺品を整理していると、父の資産が次々と見つかります。

父は投資が趣味だったようで、かなりの額を株式投資で儲けていました。ほかにもさまざまな投資に手を出しており、どれも利益が出ています。すべてを合わせると億を超えていました。

遺産の取り分を巡る争い

父がお金を持っていることを知らないときには争うつもりなんてなかったのに、お金があると知った途端、みんなの目の色が変わってしまいます。

そして、それは私も例外ではありませんでした。すべて公立の学校に行き、結婚資金も自分で貯めた私は、三兄弟の中で一番お金をかけてもらっていない自覚があったからです。

「兄さんたちは私立の大学に行った!」「あの時は〇〇だった!」

過去のしてもらえなかった恨みつらみを兄弟にぶつけてしまいます。もう遺産で争っているのか、恨みをぶつけているのかわかりません。

遺産は手に入ったけれど大切なものを失った

結局、遺産は等分され多額の資産を私たちは手に入れました。しかし、私たち三兄弟が前のように笑い合うことはもうないのかもしれません。遺産争い以来ギスギスしてしまい、もう集まってもいません。

生前の父に言えることがあるとしたら、資産があるのならあらかじめ知らせておいてほしかったということでしょうか。遺産は手に入ったけれど、大切なものを失ってしまった気がします。

ftnコラムニスト:安藤こげ茶