今回は婚活パーティーで出会った人と意外なつながりがあることを知ったJさんのお話です。
バツイチ男性とマッチング
Jさんは30代前半の独身女性。そろそろ結婚したいと思い、婚活を始めることにしました。
いくつもの婚活パーティーに参加したもののなかなか思うような人には出会えませんでしたが、5回目に参加した婚活パーティーでやっと素敵な男性と出会い、見事にカップル成立。
その男性はバツイチではあったものの、ちゃんとした企業に勤めている優しくて爽やかな男性でした。
「どうして離婚されたんですか? 」
「恥ずかしながら、妻に浮気をされまして……」悲し気に答える様子にきゅんとしてしまい、Jさんはその男性と交際を始めることにしました。
「Jさん、実は……」
2人は趣味も合い、交際はとても順調。この人なら、とJさんが結婚を意識しはじめた何回目かのデート中、男性は言いづらそうに話し始めました。
「どうしたの? 」
「前の妻が復縁を迫ってきて困ってるんだ。もしJさんさえ良ければ僕の婚約者として、前の妻に紹介させてくれないかな? 」
なんと彼の前妻は自分が浮気して出て行ったくせに、彼と復縁したいと毎日電話をかけてきたり、自宅に突然訪問してきたりするというのです。
「もう決まった人がいるって言えば、あいつも諦めるだろうから……」
JさんはもちろんOK。婚約者ということは、彼が自分との結婚を考えているということですから。
「もう近づかないでって、私が言ってあげる! 」と鼻息荒く答えました。
やってきた前妻
彼は話があると言ってレストランに前妻を呼び出しました。もちろんJさんも隣りにいます。
「話ってなに? ってかこの人誰よ……」
約束の時間から15分以上遅れて、気だるげに女性がひとりやってきました。その女性の顔を見て、Jさんは絶句。その女性は学生時代、Jさんから彼氏を奪った憎き女性だったのです。
学生時代のJさんは初めてできた彼氏と仲良く付き合っていました。しかしある時から彼氏の様子が変わりました。Jさんが誕生日にあげた腕時計もつけてくれなくなり、メールもJさんが3通送ったらやっと1通返事が来る程度まで減る始末。
浮気を疑ったJさんが彼氏の携帯電話を盗み見ると、待ち受け画面には自分ではない女性と彼氏とのツーショット写真が設定されていました。メールボックスを開いてみると、女性の名前から「彼女より私のこと好きでしょ? 」「もう別れちゃえばいいじゃん」「彼女もしつこいよね、もう〇〇は私のものなのに」など彼を誘惑するメールも残されていました。その女性こそが、今目の前にいる彼の前妻だったのです。
Jさんは初めての彼氏を奪われたショックからその後なかなか立ち直れず、恋愛に憶病になったせいで新しい恋人ができても長続きしないまま30代を迎えることに。
因縁の対決
これはかつての雪辱を果たす時が来た。Jさんはそう思ったそうです。
「どうも、婚約者です」
にっこり笑って伝えたJさん。前妻はぽかんとしてJさんと彼を見比べました。
「あんた、私以外の女と再婚するつもり?」
「ああ、そうだよ」
「なにそれ……絶対認めないから! 」
前妻はレストラン中に響く声で言いました。
「別に君に認めてもらえなくてもいいんだけど……」
彼が困ったように呟きます。Jさんはニコニコしたまま言いました。
「あなたもしつこいよね、もう彼は私のものなのに」
そう、かつて彼女がJさんの彼氏に送った文面と同じ言葉を伝えたのです。前妻は気づいているのかいないのか、怒りながらレストランを出て行きました。
「あー、なんかスッキリした」
「ん? どういうこと? 」
「なんでもないの、さあご飯食べましょ」
Jさんは何事もなかったようにメニューを開きました。
その後前妻から連絡が来ることはなく、Jさんは彼と無事に結婚して幸せに暮らしているそうです。
ftnコラムニスト:緑子