自宅での介護って本当に大変ですし、それに家事や育児も加わったらかなりの負担になることは間違いありません。だからこそ家族全員で協力しなければいけないのに、旦那さんが奥さんに任せっきり、というのもよくある話。
今回は自宅で義父を介護していたEさんのお話です。
ftnews.jp

要介護になった義父を引き取ることに

Eさんは旦那さんと高校生になる娘との3人暮らし。義母はもう他界しており、旦那さんの故郷にいる義父が脳梗塞で要介護になったことをきっかけに、自宅のマンションに義父を引き取ることになりました。

旦那さんの実家を売ったお金で自宅近くの施設に預けることも考えたそうですが、順番待ちができていてなかなか入所することもできません。

結局Eさんがフルタイムで働いていた仕事を辞め、自宅で義父の介護をすることになりました。

慣れない介護で苦戦する中、旦那は

Eさんは朝早く起きて娘さんと旦那さんの朝食とお弁当を作って送り出し、昼間は家事と義父の体位を変えたり身体を拭いたり、さらには下の世話まで。落ち着く暇もなく、娘さんが学校から帰ってきたら塾の送り迎え。

慣れない介護と家事の両立はかなり大変でした。毎日へとへとになって眠りにつくも、夜中には義父からおむつ交換や水を要求する呼び出しのベルが鳴ってまた起きなければならないのでゆっくり眠ることもできません。

Eさんがそんなに忙しい日々を送っているのに、旦那さんは義父を引き取ってからというもの、弱っていく父親を見たくないのか残業ばかりで帰ってくるのはいつも夜中。

休みの日もどこかに出かけてしまうので、介護を手伝う気もないようでした。そして時々、ふわっと香水の匂いをさせて帰ってくることも。
「これはなにかおかしい……」
そう思ったEさんは働いていた時の貯金をはたいて、興信所に旦那の素行調査を依頼しました。

義父が他界。そして・・・

ある冬の寒い日、義父は静かに息を引き取りました。そして四十九日が終わったころ、旦那さんからEさんにかけられたのは義父の介護をしてくれたことへのねぎらいの言葉ではなく。
「すまん! 離婚してくれ! もうお前を女として見られない。娘を置いて出て行って欲しい」という驚きの一言でした。

「あなたにとって私は、ただの介護要員だったのね……」
「お父さん最低! おじいちゃんのことお母さんに任せっきりにして、信じらんない! 私はお母さんと一緒にいるからね! 」
怒る娘。そして涙をこぼすEさん。しかしそれは、悲しみの涙ではありませんでした。Eさんは興信所に依頼して集めた旦那さんの調査報告書と、女性とラブホテルに入る旦那さんの写真を突きつけました。
「はいこれ、あなたの浮気の証拠! 慰謝料はガッポリいただくわ。それからこのマンション、私の独身時代の貯金で頭金出したの忘れた? とっとと荷物まとめて出て行ってね」
「え……そんな! 」
「なに。ここで女と暮らす予定だったの? バッカじゃない! それからお義父さんの遺産だけど、全部私にくれるって書いてくれた遺言書を弁護士さんに預けてあるらしいわよ。だってあなた、全然お義父さんの顔も見ようとしなかったもんねえ? かわいそうに、お義父さん泣いてらしたわよ」

そこまでまくしたて、Eさんは涙を流して大笑い。旦那さんはがっくりとうなだれて、荷物をまとめて出て行ったそうです。
自分の親の面倒をいくら配偶者とはいえ、人任せにしてほったらかしにした罰があたったのでしょう。Eさんは旦那さんからの慰謝料と、お義父さんが持っていた田舎の土地を売った遺産で娘さんと幸せに暮らしているそうです。

ftnコラムニスト:緑子