人それぞれ好きなことや得意なことが違うのは当たり前ですし、自分にないものを持っている人を羨ましく思うのも仕方のないことです。しかし羨ましいからといってそれが妬み、嫉みなどといったマイナスの方に向いてしまうのは良くありませんね。
今回はたまたま才能が開花してしまったために、逆にマウントを取られるという結果になってしまったYさんのお話です。
ftnews.jp

不妊治療の気晴らしに

Yさんは不妊治療を始めて3年目の主婦。周りの友人たちはもう2人目、3人目と続けて子どもを産んでいるのに、どうして自分には1人も授からないのかと悩む日々を送っていました。

不妊治療には高額な費用がかかりますし、なかなか治療が結果に結びつかないと焦ってストレスを抱えてしまうことが多々あったそうです。

そんなYさんの気晴らしは、昔からの趣味であるかわいいイラストや漫画を描いてSNSにアップすること。不妊治療の病院で長く待たされている間に、暇つぶしにタブレットでイラストを描くのが習慣になっていました。

その日は特に病院で長く待ち時間があったため、ポップな動物のイラストを4コマ漫画のようにしてSNSにアップしました。そして診察が終わり、帰ってからスマホを見てビックリ。
「ウソ…なにこれ?」

Yさんのイラストがとあるインフルエンサーに「ゆるくて癒される」といいね! されたことから、拡散されて大バズりしていたのです。

みるみるうちにいいね! やフォロワーが増えていく様子に戸惑うYさんでしたが、自分のイラストを多くの人に見てもらえるのが嬉しくて、それから毎日のように更新し続けました。

趣味が仕事に!

イラストをアップし続けているうちに、「SNSのアイコンを描いて欲しい」「求人広告のカットを描いて欲しい」などといった仕事の依頼がぽつぽつと舞い込むようになりました。

不妊治療の足しになれば、とYさんは仕事を受け、どんな小さな仕事でも誠心誠意取り組みました。すると段々仕事の依頼も増え、SNSではいつのまにかインフルエンサーのような扱いをされるように。

「YちゃんのSNSいつも楽しみに見てるよ!」と仲の良い学生時代の友人から連絡が来たのも嬉しい出来事のひとつ。久しぶりにみんなでまた集まれたらいいね、と数人でLINEグループを作成し、近況報告や子どもの写真、旅行の写真などを載せて和気あいあいと連絡をとりあっていました。

Yさんは自分が不妊治療をしていることや、病院の待ち時間をつぶすためにイラストを描き始めたことなどを包み隠さずLINEグループで発言していて、子どものいる友人から「諦めずに治療頑張ってね!」といった励ましのメッセージを貰うこともありました。

グサッとくるLINE

そんなある日、LINEグループにこんなメッセージが。
『YのSNS見てるけどさ、やっぱ子どもいないからこんなちまちました小遣い稼ぎができるんだよね。暇な主婦はいいなあ』これは子どもを2人育てながらパートで働いている友人からのメッセージでした。

その友人は明るく、いつも人の輪の中心にいるような人気者。その反面、何かにつけて人と張り合うのが好きで、上に立ちたがるタイプの女性でした。

子どもがいないから暇。Yさんはその言葉が胸に突き刺さるように感じ、しばらく返信しませんでした。

すると他の友人から次々にメッセージが入ってきました。
『何言ってんの? Yのイラストは立派に仕事になってんじゃん』
『そうだよ! 子どもがいるとかいないとかじゃなくて、才能があるから評価されてるんだよ』
しかしその友人はまだ納得していない様子。

『子育ての大変さがわかんないんだから、まだまだYは半人前ってことでしょ。そんなんでご立派に仕事してるとか言われてもね。ただの小遣い稼ぎじゃん』

トークルームを見ているだけで悲しくなり、Yさんは『半人前で偉そうにしてごめんね』とだけ言ってLINEグループを退会しました。

間もなく他の友人たちから『気にしないでいいよ、あの子はYが活躍してるのを妬んでるだけだから』というメッセージと共に、例の友人を除いた新しいLINEグループに招待されました。

それ以降その友人とは絶縁状態になっているそうです。Yさんいわく、「人が自分にないものを持っているからといって、妬んで傷つけるような発言はするべきではない、といういい勉強になった」とのことでした。

ftnコラムニスト:緑子