誕生日に兼ねてから同棲していた彼から、念願のプロポーズ。
幸せの絶頂だったのに、こんなことになるなんて……
大好きな彼からのプロポーズ! 幸せいっぱい!
私が初めて彼と会ったのは、転職先の会社のオリエンテーションが終わり、配属先で挨拶をした時でした。すらっとした体型で丸眼鏡が似合う、おとなしそうな感じは私の好みドンピシャで、ほぼひと目惚れ。
ゆっくりとアプローチをしていき、3ヶ月後には交際に発展しました。
自然な流れで彼が私の住むアパートに転がり込む形で同棲を始め、付き合って2年ほど経った私の誕生日に、念願のプロポーズ。
普段から喧嘩もなく、同棲が始まっても家に帰りたいということもなく、至って2人の関係は順調でした。
ある日家に帰ると裸で抱き合う彼と知らない女が
婚約し、両家に挨拶に行く日取りや結婚式の計画を考え始めたこと以外は、普段の生活と変わりません。
私はその日生理が始まってしまい、思ったよりも体調が悪くなってしまったため、仕事を早退して帰宅しました。
彼もその日は仕事だったはず。
1人でゆっくり休もうとアパートの鍵を開けたとき、何か声がしたので変だなとは思いましたが、腹痛と頭がぼーっとしていたせいで、あまり深く考えずに部屋の中に入ってしまいました。
いつも私と彼が寝ているベッドに、裸に見える彼と知らない女が抱き合った状態でこっちを見ていて、目が合いました。
「……」
そういえば、玄関になんか靴が多かったかも……なんて思いつつ、何か言わなきゃと口を動かそうとしましたが、私は声が出ませんでした。
「違うんだ! 」と慌てる彼と泣きじゃくる女
「違うんだ! 」と彼が裸のまま駆け寄ってきました。いや、パンツは履いて欲しい。
知らない女は布団の中で丸まって、泣いているのかそんな声が聞こえます。
彼に視線を戻して、「誰? 」とだけ聞きました。
「元カノ」と小さい声で答える彼。「でも、結婚したいと思っているのはお前だけだから! 」と後から付け足されましたが、まるで聞こえませんでした。
裸の2人を床に座らせ、事情を聞きました。
女は彼の元カノで、私と付き合う前からセフレの関係が続いており、私と同棲している間も何度か私のアパートで会っていたとのこと。
身体の相性がとてもよく関係を切れなかったと話す彼の横で、女は一生泣いていました。
彼からLINEのトーク履歴を見せてもらうと、そこにはラブホに行く予定や私のアパートに泊まる日程調整、コスプレした写真まで、とても楽しそうなやりとりが。
「ごめんなさぁい」とくねくねした声で言う女に、殺意さえ覚えました。
謎の記念撮影とお別れ
彼と女の言い分は、「身体の関係だけで愛情はない。婚約もしたから許して欲しい」というもの。
彼と付き合っていた2年間騙され続けていたことを考えると、私は到底彼も女も許せそうにありませんでした。
私はもともと、見切りをつけるのは早い方。飲食店での注文もすぐに決まります。
「分かった。」とだけ言って、裸のままの2人と自撮りで記念撮影をしました。
「じゃあ、約束通り結婚してくれるんだよね? 」と迫ってきた彼に、私は「3時間後に帰ってくるから、荷物まとめて出てってね。忘れ物は捨てる。」と伝えました。
「ひどい! 」と叫んでいる女は放っておいて、彼に「もしまたこの家に来たりしたら、この写真あなたのお母さんに送るね」と付け加え、私はアパートを後にしました。
プロポーズをしてくれた彼は、きっと本当に私のことを大切に思ってくれていたのでしょう。しかし、私は嘘をつき続けられるような人とこの先一緒にいる自信はありませんでした。
1度彼から手紙が来ていたのを見て、即座に彼のお母さんに写真を送りつけたのはいうまでもありません。
ftnコラムニスト:うしさん