3年目のクリスマス
A子と彼は今年で3回目のクリスマスを迎えるカップル。
「彼と付き合って3年にもなるのか…」そう思いながらキーンと冷え切った空気が張りつめる夜の空を見上げると、その先にはひときわ大きく輝くオリオン座。
その日は少しロマンチックな気分になって、ウキウキしながら家路についたと言います。
会えない日々
A子:実はクリスマスイヴにデートの約束ができるとは思ってなかったっていうくらい、私たちはお互いのスケジュールが合わなくて、ここ3か月くらいはまともにデートをしていなかったんです。
A子と彼は仕事の昼休みにちょっと会ったり、仕事帰りに夕飯を一緒に食べたりする程度だっそうで、だからこそA子はクリスマスイヴにデートできることを心待ちにしていたと言います。
ロマンチックなムードに胸が躍る
A子:そしてクリスマスイヴ当日、私は彼との待ち合わせの場所に行きました。
デートの定番と言えそうな、大きなクリスマスツリーが設置された広場。代わる代わる誰かが来て恋人を待ち、恋人が来て、そして笑顔になり、街の人ごみの中へと消えて行く。
「私もこの中の一人なんだな…」
そう思うと自分でも恥ずかしくなるくらい胸が高鳴ったと言います。
デートの相手は誰?
少し早めに来てしまったA子。でも彼も時間通りに来てくれたんだそう。
A子:「どこに行こっか?」私がそう言うと、彼は、「その前に…」と後ろを向いて誰かに何か、合図を送ったんです。
そして現れたのは別の女性。女性はにっこり笑って「初めまして」と言いました。私もつられて挨拶したけど、頭の中では「この人、誰?」と思っていました。
A子:「まあ、そういうことだから…その、分かるだろ?」という彼に、そういう事ってどういう事?分かるだろって何が?と思いました。私の頭の中は混乱して、正常な思考ができていなかったと思います。
その後、彼が何かを言って、その女性と一緒に私の元を去ったそうですが、彼がなんて言っていたのか全くA子の頭に入ってこなかったという。
A子:「私は他の恋人たちのように、笑顔で街の中に消えることが出来なかったなぁ…」と、ぼんやり思っただけでした。
肩を落としながらそう語ってくれたA子。この事がA子のトラウマにならなければ良いのにと願うばかりです。
ftnコラムニスト:アッキーム