中高年の優しい女性は職場のお母さん的存在。でも「お母さん」じゃない場合も?
仲良し親子風の2人
随分前に働いていた職場での話です。
そこは外国人研修を受け入れていて、毎年、何人もの若者が入れ替わり立ち代わり。60代の女性Sさんが彼らの面倒をみていました。
ある年の事、スラリとした中国人の青年がやってきました。日本語が堪能で、性格も良く、すぐに職場の人気者に。
彼=G君は女子にも大人気でしたが、恋愛には興味がない様子。親しくしていたのはSさんだけでした。
G君はよくSさんの肩を揉んでいて、皆は「親孝行だね」と笑っていました。
意外過ぎる関係
ところが、ある朝、同僚がそっと近づいてきて耳打ち。
「あの2人、男女の関係だよ」
同僚は、昨夜一緒にいる所を見たとの事。
「腕を組んで、どう見ても親子風じゃない」と、なぜか興奮気味。
Sさんは、もちろん既婚者。結婚30周年を迎えた、と言ってました。
「勘違いじゃない?」と否定しましたが、事態は急展開。
数日後、2人は駆け落ちしてしまいました。会社は大騒ぎ、Sさんのご主人はただ呆然。
2人の行方は分からないまま、月日は流れました。
「幸せだった」
数年後、同僚が偶然Sさんと再会。
離婚して、今はアパートで1人暮らし。G君は数ヶ月で国に帰った、と話していたそうです。
「安定した生活を捨ててまで」と同僚が言うと、微笑むSさん。
「あの数ヶ月は私の人生で最も幸せだった」
同僚と2人で「ふぅん・・・」と考え込んでしまう出来事でした。
歳を取らないと分からない事
そして、思い出したのはSさんの漏らしていた言葉。
「後は主人と老後を過ごすだけ」
とても寂しそうで、印象的な一言でした。
不倫も駆け落ちも決して良い事でありません。
でも人生残り僅かと感じた時、人は意外な行動を取ってしまうのかもしれません。
ftnコラムニスト:kanonmaru