とびきりロマンチックになるはずが、彼氏はとんでもないジンクスの持ち主でした。
外国人彼氏に振り回された、泣くに泣けないクリスマスの思い出。
先輩の紹介で知り合った外国人男性
居酒屋でバイトをしていたときの話です。都心でしたがちょっとお堅い地区という事情もあり、客年齢層は比較的高めの店でした。そのせいか、バイトの面々も20代後半~40代くらいまでいいて、若い子がパーッと騒ぐような店ではありませんでした。
そのバイト先で、私が仲良くしていたのが10歳年上の京子さん(仮名)。京子さんは海外育ちというのもあり、おおらかで明るい性格の関西人でした。ある日、京子さんの自宅パーティで知り合ったのが、オランダ出身の男性クリス(仮名)。
クリスマスには絶対”しなきゃ”いけないんだよね
クリスはとくに長身イケメンというわけではなく、腕や脚にタトゥーまで入っていて、初対面はやんちゃな印象でした。逆に私は黒髪ロングのザ・アジア人。腰まであるロングヘアーにクリスの心が動いたのか、熱心な口説きに負けて「まあ、付き合うくらいならいいか」と軽い気持ちでおつきあいを決めてしまいました。
ところが、彼には妙な性癖というか、守らなくてはならない「男女のルール」があったのです。それは「クリスマス・ジンクス」。クリス曰く、「クリスマスは神聖な日だから、25日の夜には絶対に致さなきゃいけない、しなかったらいい年が迎えられない」というのです。
クリスマスといえば、日本では「恋人の日」みたいなもの。もちろん断る理由はなかったのですが、実はその年に限って私には先約があったのです。
クリスマスの25日に秘密裏に起こったできごとは?
25日の夜には一緒に過ごせないことを伝えると、クリスはまさかの半泣き。そのうえ、「君が一緒に過ごしてくれないなら、僕が何をしても絶対に口出しするなよ」と逆切れ。
そもそも、オランダではクリスマスは家族で過ごすものでしょ?別に恋人と過ごす必要はないのでは?とたしなめるものの、全く聞く耳を持ちませんでした。
その時点で嫌な予感はしたものの、前日のイブの夜はふたりで楽しく過ごました。もちろん、濃厚なHもかまして、満足させたつもりでした。あんなことをいっても所詮は口だけに違いない。まあ、せいぜい六本木で飲み歩いて帰宅するくらいだろうと、私も高を括っていたのです。
こんなプレゼント、正直要らない
25日のクリスマス当日、私とクリスは会っていないので、実際にその日、彼サイドに何が起きたのかは分かりません。また、誘いを断っていた手前、追及することもなくやがて2年が過ぎました。
そのクリスマスからほどなくして、クリスのオランダ帰国ということもあり、私と彼の仲はとっくに終わっていました。
そして2年後のクリスマスイブには、そのあと新しく知り合った彼氏にプロポーズまでされ、舞い上がっていた私。クリスの事なんて、すっかり頭から忘れ去っていたのです。
そんな私を突如襲った悲劇。
そう、クリスの残していった「超迷惑な贈り物」とは……!?
結婚を見据えた私は、プロポーズのあとブライダルチェックを受けていました。その結果分かったのがなんと、「性感染症(クラミジア)」。そう、あの2年前のクリスマスの夜、一緒に過ごせなかった腹いせなのか、本当にただのクリスマス・ジンクスだったのか、事もあろうにクリスが本当に他の女とヤッていた事実が明らかになったのです。
ナンパなのか、風俗なのか、はたまたデリヘルだったのかは分かりません。しかし、2年近くも浮気されていた事実に気づかなかったうえ、こんな置き土産までもらっていたなんて。悔しいやら腹立たしいやら情けないやらで、はらわたが煮えくり返る思いで、婦人科に処方された薬を飲んだ、あの冬の日。
金輪際妙なジンクスを信奉する男とは、絶対に付き合わないことを心に誓ったのでした。
ftnコラムニスト:叶かなえ