今回は彼氏の友人に頼まれたことから、思わぬ金銭トラブルに巻き込まれてしまったRさんのお話です。
久しぶりにできた彼氏
Rさんはバツイチ独身。マッチングアプリで出会った、2つ年下の彼氏ができたばかりでした。彼とは不思議と最初から気が合ったことや、お互い独身ということもあって自由にデートができるので、頻繁にお互いの部屋を行き来するように。
前の結婚は旦那さんの金銭トラブルでダメになってしまったこともあり、Rさんはかなり金銭的なことに敏感になっていました。
その点彼は真面目な会社員で、金銭感覚もしっかりした男性。そこもRさんが彼に惹かれたポイントでした。
彼氏の誕生日パーティー
交際はとても順調。彼氏の誕生日が近づいていたある日、彼がこんなことを言い出しました。
「地元の友達が集まって誕生日祝ってくれるって言うんだけど、Rちゃんも来ない?友達紹介するよ」
付き合って3ヶ月で、友達に紹介してくれるなんて!Rさんは二つ返事でその誕生日パーティーに行くと答えました。
そして、当日。彼と友達がよく集まっているという小さなダイニングバーを貸し切って、彼の誕生日パーティーが開催されました。
来ていたのは彼の友人数人と、その彼女や奥さんといったパートナーの女性たち。皆気さくで感じが良く、Rさんもすぐに溶け込むことができました。
中にはパートナーを連れず一人で参加している男性もいて、他のメンバーとはちょっと違った不思議な雰囲気を醸し出していました。
「あいつちょっと変わってるから、ほっといていいよ」
彼氏はそう言ったものの、和気あいあいとした会話の輪の中にも入らずただぼーっと座っているだけのその男性に気を遣い、Rさんはその男性に料理を取り分けたりお酒を注いだりしていました。
思わぬ頼み事
「君、〇〇(彼氏)の彼女?」
男性はRさんにそう尋ねました。
「はい、まだ付き合ったばかりですけど」
「そっか、見ない顔だと思ったよ」
その時、急にお店の照明が落ち、スタッフが大きなお誕生日ケーキを運んできました。聞くところによると彼氏やその友人たちは毎年このようにしていつも集まるメンバーの誕生日を祝っているとのこと。本当に仲良しなんだな、とRさんは微笑ましく思っていました。
「ねえ、ちょっといい?」
皆がケーキの写真を撮っていると、ふいに一人参加の男性がRさんの腕を引っ張って店の隅に連れて行きました。
「え、なんですか?」
今いいところなのに、とRさんは不服ながらも男性の話を聞くことに。
「お願い!ちょっと金貸してくれない?」
「…はあ?」
「俺、ここの参加費もないんだよ…。頼むよ、お願い!」
土下座せんばかりの勢いで、その男性はRさんに借金の申し込みをしました。金銭感覚の違いで苦労した経験のあるRさんは最初は断っていましたが、あまりにしつこく頼まれるので根負け。今回だけという約束で手持ちの1万円を彼に貸すことになりました。
「絶対返してくださいね、彼に渡してくれたら良いので」
そう男性に言い、Rさんは彼氏のもとへ戻りました。
その男性、実は…
Rさんから借りたお金を手にすると、男性はふっと姿を消してしまいました。Rさんは帰り際男性がいないことに気付き、彼に尋ねました。
「あれ、あの人は?」
「あ、途中で帰りやがったな…ってRちゃんまさか、あいつに金貸してないよね?」
「え?なんで知ってるの!?」
彼氏は大きくため息をつきました。
「あいつ金借りまくってんだよ、多分ここにいる全員に。今日ここに呼んだのも、まとまった金ができたからみんなに返したいって言ってたからなのに…」
よく聞いてみると先ほどRさんにお金を借りた男性は、ギャンブルと風俗のせいで借金まみれ。彼氏の友人やその彼女、奥さんからもお金を借りていたそうです。特に新しいメンバーが加わると、スッと近づいて借金の申し込み。女性たちも自分の彼氏の友達なら大丈夫だろう、と信用して貸してしまうのだそう。
「何それ、最低じゃん…」
「先に言っとけばよかった…俺が肩代わりするよ。いくら?」
「〇〇くんのせいじゃないからいいけど、あの人ちゃんと返すつもりあるの?」
彼氏は厳しい顔をして、首を横に振りました。
「幼馴染だから許してたけど、もう限界だな」
彼氏は男性にすぐ電話をかけましたが、その電話が繋がることはありませんでした。
その後Rさんが彼氏から聞いた話では、男性はあちこちで借金をしつづけたうえに、逃亡した先でトラブルを起こし、詐欺罪で逮捕されたとのこと。
高い勉強代だった、これからはたとえ彼氏の友達でも絶対にお金を貸さない、とRさんは固く決意したそうです。
ftnコラムニスト:緑子