アパレルショップには洋服を買い求める人が来るのが当たり前と思っていたのですが、実際に働いてみると、「そうではないお客様」がいることを目の当たりにしてしまいました。これは、私がアパレル販売員としてお店で接客をしていた頃に出会った、とんでもないお客様のエピソードです。
ftnews.jp

ショップ店員にありがちなノルマ

アパレル販売員時代、個人ノルマがあるショップだったこともあり、スタッフはみんな殺伐とした空気の中で毎日営業していました。単価が高めのブランドだったこともあり、冬はコート1つでも売れてくれれば万々歳なのですが、なかなか高価なアイテムだったので接客の技術もかなり要します。当時新人だった私にはちょっと厳しいアイテムでもありました。今月もノルマがやばいなぁ〜と思っていた、ある冬の日のこと。突然お店に入ってきたお客様は、いかにもお金持ちそうな淑女だったのです!

すごいお客様がやってきた!これはラッキー!

そして、次々にコートの試着を始めました!たまたま私が近くにいたから接客ができたこともあり、お客様に売れ筋アイテムをお勧めしてみました。すると、「あら~これも素敵ね♪もっと良いものがあれば見立ててくださらない?」と、別のものを買う気満々なノリだったのです!それを離れたところで見ていてくれた店長が、店内でも売れ残っていた25万のリアルファーのコートを奥からさっと出してきてくれました!こんな高いものを!?と慄きながらもお客様にお出ししたところ、「あら素敵。やっぱりリアルは違うわね!」と上々の反応!

まさか私が25万のコートを売っちゃうのー!?と内心ニヤニヤせずにはいられない状況になったのです!

ではお会計に・・・ではなく、取り置き?

そしてお勧めしたコートと最後の25万円コートと、他にも何点かを選んで、「じゃあこれで・・・」購入に至るかと思ったその時、「お取り置きしておいてもらえるかしら?」の一言が。なんでも、今日は電車で来てしまったので、今度車で来るからその時に持ち帰りたいとのこと。確かに、こんなにたくさんのコートを持ち帰るのは大変だし、「配送もいたしますが、いかがでしょう?」とお伺いしても、明後日車で来るからと、その一点張りでした。高額アイテムばかりだったし、明後日に来ると言っているので取り置きは1週間とお約束して、その場を収めました。でも、その後その淑女と連絡が取れる日は来なかったのです。1週間が過ぎた頃、他店から取り寄せ依頼が来たので、その25万のコートは他店へと移ってしまいました・・・。

あろうことか、他店にも現れた!?

連絡先の電話番号にかけても「現在使われておりません。」というメッセージが流れてしまい、あ〜やられた〜・・・と落胆していました。その後、会社の本部から臨時MTGがあると出かけていった店長が戻ってくると、どんでもない報告を受けたのです!なんと、あの時接客したお金持ちそうな風貌のお客様は、都内の他の数店舗にも表れていたのです!しかも1週間おきに他の店舗に現れては、コートの試着をたくさんし、何点か取り置きをして連絡が取れない、という行為を繰り返していたことが発覚したのです!

もちろん、彼女の特徴はすぐに全店に共有され、要注意人物として通達が来ました。その後もまだ現れていない店舗に来たのですが、特に不正行為を働いているわけではないので、来店したら店長が付くという対応になりました。

ftnコラムニスト:南さおり