パート面接とは言え、面接をしてもらう方は身なりや態度に気を付けるものです。ただ、面接をする方だからといって、何をしてもいいというわけではありませんよね。
今回はパート面接に行ったらトンデモ面接官に出くわしてしまった私のお話です。
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ハローワーク求人に応募

当時私は勤めていたパート先が業績不振により閉店したため、近くのハローワークで失業保険を申請しながら、できるだけ堅そうで、つぶれないお店を狙って応募していました。
「あ、ここいいかも…医療機関ならつぶれなさそうだし」
私がそう思って応募したのは、とある医療機関の事務のお仕事。時給もそこそこ良いし、自宅から近いのでとりあえず応募してみることに。

履歴書を送ってしばらくすると、事務員らしき女性から面接の日時を知らせる電話が。今医療機関がアツいのか、かなりの人数が応募して来ているのでとりあえず面接をしたいとのことでした。
「はい、ぜひお願いします!」
二つ返事で面接の日時を決め、改めて気合いをいれて面接に臨もうとクローゼットの奥からスーツを引っ張り出したのでした。

いよいよ面接当日!

面接当日、その医療機関の近くで面接の時間まで待機していた私に、一本の電話が入りました。
「すみません、面接の責任者がまだ到着していないので面接の時間を30分遅らせていただけますか?」とのこと。
面接官というのはやはりそこの責任者であるはずなのに、まだ到着していないとは?よくわからないけれどとりあえず了承し、手近なところでお茶をして時間をつぶし、指定された時間に現地に向かいました。
「すみません、本日面接をしていただくお約束の、〇〇と申します」
窓口でそう伝えると、事務員らしき女性がバタバタと集まってきました。
「こちらこそすみません!ただまだ責任者が来ていないので…」
「え?」まだ来てないの?責任者って普段現場にいない人なのかな?と思いながら、案内されたカウンター席の椅子に腰かける私。
「先に軽くお話をさせていただけますか?」と言って、白衣の女性が私の前に腰かけました。この人は責任者じゃないのかな?
「はい…」
そこでよくパートの面接で聞かれるような、出勤できる日や時間、前にしていたパートなどをサラッと聞かれるも、まだ責任者は来ない様子。なぜ?そんなに遠くから来るのかな?

突然の来訪者、それは…

「えっと…もう聞くことないかも…」
あらかた面接で聞かれることは聞かれたあと、なぜか沈黙の時間に。白衣の女性とただ見つめ合う私。なんかこの人、困ってる?ていうか責任者いつ来るの?
そう思っていると、急に入り口の自動ドアが開き、ふらふらと足元のおぼつかない男性が入ってきました。患者さんかな?
「あ、責任者来ました」
「え?」
足元のおぼつかない男性は軽く白衣の女性に手を上げて、ふらふらしたまま私のまえに着席。え、面接官具合悪そうだけど大丈夫?と不安になる私。
「あのー…責任者です」
具合が悪そうなまま話し出す男性。ん?なんかお酒くさいかも…。もしかして酔ってる?昼間なのに!?
「よろしくお願いします…」この時点でもう帰りたい私。でもせっかく面接までしてもらってるしなあと悩んでいると、男性が私の顔や上半身を嘗め回すように見ているのに気付いた。
「あの、何か?」
「いや、すごい美人だと思って」
「え?」
生まれてこのかた美人とは言われたことのない私ですが、どうやら泥酔しているであろう人にそう言われても困ってしまいます。二日酔いレベルではないお酒くささと呂律の回ってなさから見て、絶対に面接前に一杯呑んで来てるはず。
「時給1万円くらい出しちゃおうかな」
「え?」
「いえ、ハローワークの時給です」
もう「え?」としか言えない私に慌てて白衣の女性がフォローに来る。
「この後なにかあるんですか?」と責任者の男性は身を乗り出して聞いてきました。なかったら何なの?もう帰りたい。
「すみませんが失礼します…」
そう詫びて席を立ちました。なんかとってもヤバいところに来てしまった気がする私。

その医療機関とはご縁がなかったと思い、私はそそくさとその場を離れました。その後採用のお電話を頂いたものの、お断りすることに。
人を面接するような立場なら、せめてお酒を飲まずに来られないものでしょうか。そのうえジロジロ見られ、容姿のことまで言われてとてもショックだったのを覚えています。
当たり前ですが面接はする方とされる方、どちらもシラフで臨むべきではないでしょうか。とにかくモヤモヤすることがいっぱいの面接でした…。

ライター:緑子