飲食業に就いていると賄いは1番の楽しみ。たいていはプロが美味しい物を作ってくれます。でも、まさかのこんなパターンも⁉
高級レストランのバイトに誘われる
数年前の体験です。
近所のレストランが人手不足でバイトに誘われた私。急だったので「賄いは無料にします」と支配人に頭を下げられました。
創作料理の高級店で、ディナーコースは1万円越え。私は喜んで引き受けました。
そして、初出勤の日。
人間が食べる部位ではない野菜
仕事が終わって、出てきた賄いに「え?」
野菜炒め風の何かには、キャベツの芯、長ネギの青い所、人参の皮しか入っていませんでした。
同僚は「これで月5000円、給料から天引きされるのよ」とため息。
その後も呆れる賄いは続きました。
茹でただけの鶏肉、シェフが臭いを確認しながら揚げていた古い肉のカツ、添えられたレタスは腐りかけ。
ご飯は賄い用に古米を炊いていました。
賄いしか食べられない派遣君
さらに、混雑した日にはカップ麺がポンと置かれていて唖然。
自宅から通っている人は他の物を食べられますが、寮で暮らしている人達はほとんど賄いのみ。
数ヶ月前に入った若い派遣君は日に日に痩せて行きました。「ちゃんとした肉が食べたい」と呟く姿に、差し入れをする人も。
そして、ある日、とうとう倒れてしまいました。
料理には思いやりを
病院での診断は「栄養失調」。医師は勤務先を聞いて驚いていたそうです。
聞けば、店のレシピを考えているのは別の人で、シェフは作っているだけ。プロなのにレシピを考ええる能力はなく、経費削減で頭がいっぱい。その結果がヒドイ賄いでした。
普段は何気なく食べている毎日の食事。でも、バランスが悪いと病気になってしまいます。
台所を預かる皆さん、思いやりを持って料理を作りましょう。そうすれば自然にバランスも整うはず。
何より「美味しい」と喜ぶ笑顔が見られます。
ftnコラムニスト:kanonmaru