部活の顧問を断った新人教員
友人のAくんは、大学卒業後に中学校で講師として働きはじめました。
彼は学生時代から好きなバンドのライブに出かけたり、1人旅行を楽しんだりとアクティブに活動するタイプです。
プライベートの時間を確保するため、教員採用試験は受けず講師という立場を選んだのです。
彼は教員1年目に赴任した中学校で校長に「部活の顧問は引き受けません」と伝えました。
校長からの提案も拒否しつづける
しかし、若手教員が部活の顧問を拒否するのは難しかったそうです。
勤務がはじまると、運動部の顧問を割り当てられました。
彼は「自分が経験したことのないスポーツの顧問なんて絶対に引き受けられない!」と抗議したそうです。
しかし、その後も「副顧問はどうか?文化部の顧問ならどうだ?」と提案をされますが断固拒否したのです。
同僚から避けられるようになって…
ほとんどの教員が顧問を引き受けているなかで、彼は完全に異端児でした。
はじめは同僚たちから
「部活は子どもたちの成長を身近に感じられますよ」
「子どもたちと良い関係を築ければ慕われますよ」
と説得されていました。
しかし、校長から代替案を出されても彼が頑なに顧問を拒否している姿をみて、だんだんと彼と関わることを避けるようになったのです。
次第に、彼は職員室で無視されるようになります。
心身を病む前に離職も考えよう!
こうなると彼も職員室に入るのさえ怖くなってしまったそうです。
授業の空き時間は、休憩室や自分の車で過ごすようになりました。
ある日、月に1回の職員会議にでるため職員室にいきました。
すると彼の机には、プリントの束や他の先生たちの荷物が置かれていたのです。
次の日、出勤するために車に乗り込むと突然腹痛に襲われ動けなくなったそう。
それからしばらくは出勤と欠勤を繰り返し、とうとう朝起き上がることも難しくなったそうです。
その後、精神科を受診し軽度のうつ症状だと診断され、教員生活1年で教育現場を離れました。
働いていれば、理不尽な仕事を押し付けられることもあります。
きっぱりと断ることは大切ですが、組織の体制や上司の考えが変わらない限り、根本的に解決することがむずかしい問題もおおいです。
あなた1人が頑張ってもどうにもならないときもあります。
そんなときは、心や体が壊れる前に今の職場を離れることも考えてみましょう。
ftnコラムニスト:広田あや子