かんしゃく持ちで、集団行動が苦手な息子
40代のAさん夫婦には二人のお子さんがいます。
小学生の女の子と年長の男の子です。
お姉ちゃんは、小さい頃からおとなしく聞き分けのいいお子さんでした。
一方で弟は、嫌なことがあるとすぐに癇癪をおこします。
また、幼稚園では集団行動ができず逃げ出すこともあったそうです。
発達検査で自閉症だとわかる
弟が4歳のとき、幼稚園の先生のすすめで発達検査をうけることになりました。
姉に比べると育てにくい子だと感じていた両親。
検査を受けると決めるまでは、そうとう悩んだそうです。
どんな結果でも受け入れる覚悟ができた両親は、半年ほどかけて病院や市の相談センターに通い、検査のテストをうけました。
結果は、自閉症スペクトラム障害。
同じ年代の子どもたちと比べると知能指数はかなり高いですが、相手の感情を読み取る力や想像する力が極端に低かったのです。
つまり、発達に凸凹があったのです。
娘に弟の障害を伝えると意外な反応が!
発達検査のあとしばらくして、小学生のお姉ちゃんに弟の障害を伝えたそうです。
「生まれつき障害があって、治ることはないの。
弟が小学生になったら、もっと症状がひどくなるかもしれない。
そうしたら、あなたも学校で嫌な思いをするかも。
ごめんね」
と伝えたのです。
3人の間には重い空気がながれ、沈黙がつづいたそう。
娘がどううけとめたのかわからずにいた両親。
しばらくうつむいていたお姉ちゃんが「障害とか病気とか勝手に決めつける大人はサイテーやね。私には関係ない。ずっと優しくてかわいい弟や!」と言ってきたのです。
娘の弟への深い愛情に感動する両親
娘の言葉に、障害のあるなしにかかわらず、ありのままの弟をうけいれていることに気づいた両親。
娘の弟への深い愛情にふれた両親は、娘を抱きしめて号泣したそうです。
大人は知識や経験があるぶん、考え方が凝り固まってしまっているんでしょうね。
わたしたち大人も、ときには子どもの言葉に耳を傾けて自分の生き方を振り返ってみてもいいのではないでしょうか。
ftnコラムニスト:広田あや子