合言葉は「24365」
「枕元に携帯を置いてメールが来たら即返信が基本でした」と話すのは、某大手企業の営業部に所属していた30代男性。「24365」。これは「24時間365日」の略。寝る間も惜しんで働けば必ず結果が出るというのが営業部の信条だったそう。タイムカードなどは存在しなく、あくまでも自主性を問うため、見た目はホワイト。サービス残業なんて言葉じゃ収まらない怖い世界がそこにはあったのです。
会話はすべて英語の苦行
「規定の出社時間は午前9時30分。しかし、ほとんどの社員が英会話レッスンのために午前7時30分には出社するのが当たり前でした」と話すのは、営業事務の職務に就いていた20代後半の女性。「来期は世界進出!」そう目標に掲げた翌日からは、日本語での会話は一切禁止という苦行が始まりました。いくらレッスンを受けているからといって、すぐにペラペラと話せるわけもなく、溜まっていくストレスと自己嫌悪。翌年には世界進出の夢はつい果て、国内トップを目指すという目標にシフトしたものの英語地獄は続き、寡黙の日々が続いたそうです。
管理職に設けられた休日研修・ミーティング
ある制作会社に勤務していた40代女性は、10名ほどの部下を束ねる課長代理。平日は取引先との商談や制作業務に加えて、課内ミーティングや部下たちの相談に乗るなど、ご飯を食べる暇もないほどのハードスケジュール。さらには「管理職同士の交流も大切にしてください」とのお達しで、貴重な休日も研修に充てられ、レクリエーションの一環ということで出勤扱いにならなかったそう。また、係長以上の管理職の人のみのミーティングは休日に行うことを「推奨」されていたそうで、休まる余地なんてありません。仕事にやり甲斐を感じていたけれど、体力がついていけず、やむなく退職をすることに…。
1時間ごとに設定された5分休憩の罠
これは、ある飲食店でアルバイトをしていた30代女性のお話。3年間、真面目に勤めていた姿勢が認められて初めて時給が上がったそう。しかし、喜んでいたのもつかの間、1時間ごとに5分間必ず休憩を取るように指示があったといいます。その5分休憩は、体を休めるためのものではなく、分給として差し引くための施策だったのです。時給は上がったけれど、休憩分を引かれると以前のほうがもらっていたことになります。「休憩はいらない」と直談判したものの、アルバイト先の上司は聞く耳を持たず…。会社には憤りを感じながらも、お客様のために今日も笑顔で働いています。
会社の中では当たり前のことだから「ブラック」と感じていない人が多いのも事実です。自由な時間や心身が健全じゃなくなってきたなと思ったら、ご自身が置かれている状況を第三者の視点で見つめ直してみてください。お金や肩書じゃなく、自分らしく生きていくのがなにより大切なのですから。
ftnコラムニスト:イチジクねえさん