母の日のプレゼント
我が家は結婚13年の40代夫婦で、小学生と園児の子どもがいます。
母の日には、夫が子どもたちと一応こっそりとプレゼントを用意し、「ママいつもありがとう」と言いながら渡してくれるのが、何年も前からのお決まりです。
おもに、お菓子やカーネーション、子どもたちの描いた絵やお手伝い券などを一緒にもらっています。
また、同県に住む夫のお母さんへの気遣いも欠かさず、私たち夫婦から、お花や雑貨などを用意するのが恒例でした。
義実家の悩み
ただ、夫の実家を訪ねると、夫は何かと姑の味方をしがちで、私の気持ちよりも姑が言ったことを優先することがよくありました。
そのことで私が一方的に腹を立て、険悪になることもあり、これは私たち夫婦の課題だと認識していました。
ところがそんな矢先に、姑は病気で亡くなります。結婚して6年後のことでした。
余命宣告からわずか1ヶ月の出来事で、我が家はしばらく悲しみに暮れました。
思いがけない贈り物
その翌年の母の日。
夫と子どもたちから、「ママいつもありがとう」とプレゼントをもらいます。
喜びつつも、「もう姑に贈ることはないのか」と、私だけもらって申し訳ないような気持ちと喪失感を抱きつつ、家族の時間を大切に過ごしたいと改めて思いました。
そのあと、夫が「これは僕から」と言って、ちょっと高級そうなお菓子をおずおずと差し出してきたのです。
「え、なんで……」と驚いて尋ねるも、もともと口数の少ない夫は何も言いません。
気持ちの変化
その翌年以降も、夫から私への「子どもたちからとは別の」母の日の贈り物は続いています。
大切なお母さんを亡くした夫の気持ちを考えると切なくて、どんな気持ちでプレゼントを用意してくれているのかと想像して、その日だけは私も優しい気持ちになれるのでした。
そして、今までは適当に用意していた翌月の「父の日」の贈り物も、丁寧に選ぶようになりました。
母の日くらいは楽をしたくて、実は「プレゼントよりも1人の時間をくれ~~~!」と思っていた私でしたが、夫の心遣いを受けて、「一緒に過ごせる時間は当たり前じゃないんだ」という思いで、家族と「母の日」を過ごすようになりました。
【体験者:40代・フリーランス、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:長橋知子
38歳で未経験からWEB広告制作の在宅ワークに挑戦し、セールスライター・WEBライターとして活動をスタート。読者に寄り添うライティングを大切にしている。特に、人間関係や育児、地域活動、女性の生き方に関するテーマが得意。また、noteで赤裸々エッセイを発信し、Kindle書籍も出版。「どんな自分でも生きていける」社会の実現を目指して奮闘中。