不穏な空気
予約した和食居酒屋で両親と彼は初めて顔を合わせました。父はすっかり喜んで酔っぱらい、終始笑顔でしたが、母は辛辣な表情を浮かべ、厳しい目つき。
帰宅後、母からは案の定、
「あの彼で大丈夫なの? 私はどうも信用できないわ」と言われてしまいました。母は私のことを心配すぎるのと、もっといい人がいるのではという「親の欲目」もあって、どんな人を連れてきてもそう言って引き止めるような気がしました。私は大丈夫だよと言って、必死に彼の良いところを母に伝えました。
一方、彼からも「お前のお母さん、なんか俺苦手だわ。品定めするような目で見てたよね」と言われてしまいます。
そして、「お父さんはなんかちょろいけど」と言った彼にかすかな違和感を感じたのに、私は見ないふりをしてしまいました。
最後まで母は、「違うと思ったら後戻りしていいのよ」と言っていましたが、引っ込みのつかなくなった私は上京し、結婚を前提に彼と一緒に暮らし始めました。
しかし、わずか半年で破局。
彼は私の手料理をけなしたり、私の好意を迷惑そうにしたりとモラハラ気質で、喜びは半分に、悲しみは2倍になるような日々でした。
親の直感はあなどれない
一度きりの自分の人生、親の言いなりになる必要はないですが、親の直感はあなどれない、ということを今になって痛感しています。
お母さん、あのときは信じられなくてごめんなさい。
そして、自分の直感ももっと大事にしなきゃダメですね。あのときの自分にも謝りたいです。
【体験者:40代・フリーランス、回答時期:2025年4月】
※本記事は、執筆ライターが取材した実話です。ライターがヒアリングした内容となっており、取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ltnライター:長橋知子
38歳で未経験からWEB広告制作の在宅ワークに挑戦し、セールスライター・WEBライターとして活動をスタート。読者に寄り添うライティングを大切にしている。特に、人間関係や育児、地域活動、女性の生き方に関するテーマが得意。また、noteで赤裸々エッセイを発信し、Kindle書籍も出版。「どんな自分でも生きていける」社会の実現を目指して奮闘中。