「妖霊星」という字面を見ると、何やらまがまがしい雰囲気を感じますね。でも、現代ではそんなに不吉な星ではないようですよ。いったいどのようなものなんでしょうか。
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天下が乱れるときに現れる星

「妖霊星」は「ようれいぼし(「ようれぼし」とも)」と読みます。あやしい星や不吉な感じの星、災いをもたらす星といったような意味です。

妖霊星が出てきたのは、『太平記』(相模入道田楽並闘犬事)です。相模の入道と呼ばれた「北条高時」が酔っ払い、政治をおろそかにして田楽や闘犬に明け暮れていたときのこと。

「天王寺の妖霊星を見ばや」と囃し立てる声が聞こえてきたそうです。家臣が見ると高時の周囲には、天狗やくちばしが曲がった鳶に似た鳥などの化け物がいて踊り狂っていた、人間は一人もいなかったというのです。

天王寺とは聖徳太子ゆかりの土地。話を伝え聞いた当時の学者は、「天王寺の辺りから戦乱が始まり、天下が乱れて幕府が危うくなるのでは」といったという話からきています。

実際、その後、北条氏は滅亡し、鎌倉幕府は終わりを迎えます。

結局何の星?

では、結局「妖霊星」って何なのでしょう?実は「彗星」のことではないかと考えられています。

ハレー彗星のように定期的に地球の近くに、長く尾を引きながらやってくる星。現代では珍しいもの見たさに多くの人が集まってきます。忌み嫌う方はほとんどいないのではないでしょうか。

writer:海辺のつばくろ