気鋭の若手日本画家・彩蘭弥 (Alaya)を知っていますか?

三菱商事アートゲートプログラムという若手アーティストの登竜門を経て、現在は多くの商業施設やファッションショップ、書籍などの壁画・挿画・表紙を彩る、いま注目のアーティストです。95年生まれの若手アーティストながら、仏教の世界観を背景にしながら現代アートのエッセンスも盛り込んだ画風は温故知新な新世代日本画家とも言うべき存在感を示しています。

そんな彼女の個展が開催中なので、気になる方は要チェック。

彩蘭弥さんから寄せられた、個展のコンセプトも秀逸なので、ご紹介します。

私の家の前には多種多様な動植物が生息する豊かな川が流れており、幼い頃より毎日川と共に過ごしてきました。ある日、高速道路掘削と河床整備の名目で、川の地下と地上同時に大規模工事が始められました。景色は一変しました。心臓がえぐられるような感情を作品にするより他になく、地下を掘り進む重機の振動に耐えながら筆を動かしました。

愛する川が破壊されていく。その現状への悲しみと憤りをぶつけ、同時に再生への祈りを込めて描いた横幅4mの大作を中心に、今回の個展では川を主題としたシリーズを展示します。画材は主に和紙に岩絵具、箔などの日本画材を用いて制作しています。

この度の作品群は私の個人的な体験をもとに描かれていますが、ご来廊下さった方々には、各地で起きている行き過ぎた開発と自然破壊について自分ごととして捉え、共に考えていただければ幸いです。コロナで世界中の人の命が危機にさらされ、目の前では長く親しんできた川の小さな命が奪われてゆく。私の力だけではどうしようもない現状に心を痛めながらも、何か言葉を発するため、また自分の心と向き合うために“命”に思いを馳せて絵筆を動かした軌跡を是非ご高覧ください。

個展は以下で開催中です。

場所:Gallery Q
住所:東京都中央区銀座1-14-12楠本第17ビル3F
Tel : 03-3535-2524
4月17日まで

編集長:村重達也