渋谷の街にファッションショーが染み渡る――昨年、急逝した世界的デザイナーの山本寛斎さんの遺志を継ぎ、渋谷でKANSAI YAMAMOTOの新コレクションが発表され、話題になりました。その際、ちょっとユニークな後日談があります。高谷健太さん率いるクリエイティブチームが手掛けたショーの作品たち(全ルックの半分ほど)が後日、そのまま渋谷の街に登場したのです。コレクションショーの服が、「普通に渋谷に居る」。そんな貴重な機会に街は大盛り上がり。

KANSAI YAMAMOTOと渋谷ファッションウィークの挑戦

このショーは山本寛斎さんの急逝の後、KANSAI YAMAMOTOメゾン最初となるコレクション。渋谷スクランブル交差点で史上初となるショーを行い、それを撮影した動画が放映され、再生回数10万回を超える話題となりました。

SHIBUYA FASHION WEEK - SHIBUYA RUNWAY "KANSAI YAMAMOTO"

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そんなショーの後日には、もうひとつ、面白い仕掛けというのが今回のお話。
というのは、ショーで登場した服が、実際のショーと同じ姿で、渋谷の街に繰り出したのです。普段、なかなかリアルに見ることの無い、ショーの服をモデルが着て、普通に街にいる。

渋谷キャストのカフェのオープンテラスに、モデルがずらり9人で、お茶飲んでる――
渋谷の駅の構内にも、9人が。
渋い飲み屋横丁にも――

通りを行く人たちは、思わず足を止めて、見とれて、写真を撮って。とそんなシーンになりました。

最近は、世界のハイブランドもファッションショーを一部の関係者だけでなく、すべての人に見られるように配信することも多くなっています。それくらい、ファッションショーがどんどん身近に。でも、まさか普通に街場では、お目に掛かれないですよね。その意味でとてもユニークな取り組みですが、ファッションショーの新しい形としても、素敵な企画だなと感じました。

SFW次は何を?

このプロジェクトは、渋谷のファッション関係の施設が連合して開催しているSFW-Shibuya Fashion Week-の企画の一環。SFWのメインイベントのひとつとして、KANSAI YAMAMOTOのショーの配信をして、さらに「配信だけでなく、もっと面白いことを」との思いで行われたもの。
筆者も長年ファッションの世界を見ていますが、なかなか見物な、素敵な企画でした。
SFWは毎年春と秋の年2回開催。今秋にも開催されますので、次はどんなことを仕掛けてくれるのか、楽しみになりました。

編集長・村重達也