ハードなイメージのあったミリタリーを、しなやかにまとう新発想のスタイリングが広がってきました。芯の強い雰囲気は保ちつつ、フェミニンにアレンジ。大人感やきれいめテイストも盛り込んで、シーンフリーに着こなしやすく仕上げる着方です。ニューヨーク発ブランドの【3.1 Phillip Lim(3.1 フィリップ・リム)】が発表した2026年リゾート(プレスプリング)コレクションには、お手本にしたくなる新顔ミリタリールックがそろいました。

シャツワンピースの上からスカートレイヤード

3.1 Phillip Lim 2026年リゾートコレクション

出典:3.1 フィリップ・リム

今のミリタリー使いは控えめのさじ加減が主流です。きちんと感やエレガンスとミックスして、ミリタリー感を抑えれば、幅広いシーンに着て行けます。トップスかボトムスのどちらか一方だけにミリタリーアイテムを迎えるのが上手な取り入れ方です。

ピンストライプ柄のシャツワンピースが凜とした雰囲気を際立たせました。ワンピの上から、ミリタリー風のラップ(巻き)スカートを重ねて。スリットからワンピをチラリとのぞかせています。パイソン柄のぺたんこシューズで別ムードを投入。気品とタフ感が同居したルックに仕上がりました。

たおやか系デニムできれいめシフト

3.1 Phillip Lim 2026年リゾートコレクション

出典:3.1 フィリップ・リム

近ごろのミリタリーアウターはポケットやベルトなどのディテールだけに面影を残し、全体は穏やかな表情に整えるようになってきました。カーキ系の色もミリタリーらしさを印象づけます。ほとんど逆のフェミニン系アイテムを組み合わせると、こなれ感が出ます。

カーキ系のミリタリー風アウターですが、本気の軍服のような武骨さは遠ざけています。高い襟やリラクシングな裾がエレガントなたたずまい。マルチポケットやウエストベルトにミリタリー風味が薫ります。タック入りのデニムスカートで合わせてハンサムなコーディネートに。優美なフレアシルエットが女っぽさを添えました。

ゆるめの着崩しでヘルシーリラックス

3.1 Phillip Lim 2026年リゾートコレクション

出典:3.1 フィリップ・リム

マニッシュなイメージを持たれがちなミリタリーを、軽やかにまとうのが今の流儀です。あちこちをゆるく着崩したり、素肌をのぞかせたりすると、伸びやかな着映えに整います。襟や袖のボタンを多めにはずす小技も効果的です。

ミリタリーパンツをローライズでゆったり穿きこなしました。フラップ付きのビッグポケットがアイキャッチー。内側のトランクスをチラリとのぞかせて。トップスは2枚重ねのシャツレイヤード。シャツ裾にこしらえた三角形の「窓」ゾーンからお腹見せ。両袖先にもシャツをあふれさせています。

ディテールで魅せるきれいめデニム

3.1 Phillip Lim 2026年リゾートコレクション

出典:3.1 フィリップ・リム

近ごろはパッと見では、ミリタリー感の薄いウエアが増えてきました。張り出しポケットやハーネス、胸当て、D環ベルトなど、ミリタリー由来のディテールをさりげなく取り入れたアイテムは自在の着こなしに誘います。素材面でもデニムのような異素材とのクロスオーバーが進んできました。

デニム仕立てのジャケットに張り出しポケットを添えて、ミリタリーの雰囲気を宿らせました。縦に長く垂らしたベルトもどことなくハーネス風の見え具合。デニム素材がミリタリー感を遠ざけているので、マルチに着回せそう。カーゴパンツはクリーミーな色でやさしげな印象。こうした「うっすらミリタリー」が今の気分を象徴しています。

シアー素材とずれ感ミックス

3.1 Phillip Lim 2026年リゾートコレクション

出典:3.1 フィリップ・リム

しっかりした素材感はミリタリーらしい特質です。おしゃれウエアにアレンジした場合でも、タフめの質感は受け継がれることが多くなっています。トップスがミリタリー調であれば、ボトムスにシアー系の薄ふわ生地を選んで。風合いのずれ感が装いのムードを深くしてくれます。

ミリタリー系のアウターに、シアー素材のスカートで合わせました。上はタフ顔、下ははかなげムードと、質感のコントラストがくっきり。複数の張り出しポケットや、トレンチコート風の共布ベルトを配していますが、アイボリー系カラーのおかげで、マニッシュに見え過ぎていません。アシンメトリーのシアースカートが繊細で清らかな雰囲気を寄り添わせました。

「3.1 Phillip Lim」はNY育ち エレガンスと実用性を両立

3.1 Phillip Lim 2026年リゾートコレクション

出典:3.1 フィリップ・リム

「3.1 Phillip Lim」はもともとニューヨーカーの支持を受けて、人気の出たブランドです。今でも着心地やユーティリティー(使い勝手)に優れ、品格やシックさとの好バランスが支持されています。2026年プレスプリングコレクションは前クリエイティブ・ディレクターの退任後に、ブランドのDNAを継承したデザインチームが手掛けました。

世界を旅する好奇心に満ちた冒険者のイメージに寄り添いました。デニム素材を用いて、エレガンスと実用性を絶妙に掛け合わせています。レオパード柄は多面性を示す形で象徴的にあしらわれました。

2026年春夏コレクションからは韓国系アメリカ人のミシェル・リー(Michelle Rhee)氏が新たにヘッド・オブ・デザインに就任しました。ブランドの新たなスタートに期待が集まります。

進化系のミリタリーはスタイリングの自由度が高いから、自分好みのアレンジを試せます。手持ちのワードローブと引き合わせて、別の表情を引き出せるのも、新顔ミリタリーのよさ。弱く軽く見られたくないという、今のおしゃれマインドになじませやすい新発想ミリタリーは、引き出しの多い新コーディネート術です。

ファッションジャーナリスト 宮田理江