【ショーメ】の伝統技術と通奏低音する竹、盆栽、刀剣と展示
ナイフの刃のように薄い線でパーツを繋ぎ合わせ、宝石が軽やかに宙に浮いているように見せる極めて高度な技術である【ショーメ】ならではの技である「フィル クトー」。編む、組むというテクニックを駆使する点において、竹の持つしなやかさを生かし、古くから伝わる編み技を進化させ、見たことのない形を創造する竹芸家・四代 田辺竹雲斎氏の作品ともに展示します。材料である竹は展覧会終了後に解き、再利用して次の作品に繋がれていきます。
【ショーメ】のジュエリーに欠かせない天然石。石に人の手を加える「ラピデール(宝石細工)」の技で、めくるめく輝きを引き出しています。時に1000年を超える樹齢の盆栽も、手入れを続けることで長い歳月を生きます。移ろい、変わりゆく時代の流れのなかにあって、永遠の意味を教えてくれる点が両者に共通しています。数多くの作品が内閣総理大臣賞や国風賞を受賞し、「盆栽界の魔術師/錬金術師」と呼ばれる盆栽作家・木村正彦氏の作品も【ショーメ】のハイジュエリーも、その在り方は同じです。
金細工に秀でた【ショーメ】の創業者マリ=エティエンヌ・ニト。その「オル フェーヴル(金細工)」の伝統を今なお正しく守り伝えています。およそ800年にわたり、作刀の技を受け継いできた刀匠・月山貞利氏と月山貞伸氏。 彼等の鍛えた刀身には、綾杉肌と呼ばれる独特の模様が浮かび上がります。刀身に彫物をするのも月山派の特徴。【ショーメ】、月山家ともに時代を越えて今もなお継承された昔ながらの方法で、伝統の技を継承しています。
名匠たちの「人の手が成す仕事」、素材へのこだわり、優れた技能、高い精神性はいずれもフランスが誇りとする【ショーメ】の深い美と通底しています。【ショーメ】と日本の名匠たちの美と文化の競演を、紅葉が美しい三溪園の庭園とともに楽しんではいかがでしょうか。
「フランスと日本文化の Conversation ショーメのサヴォワールフェールと日本の名匠 3人との対話」 特別一般公開
会期/2021年11月23日(火・祝)〜11月28日(日)
場所/神奈川県横浜市中区本牧三之谷58-1 横浜・三溪園 鶴翔閣
開館時間/9:00〜17:00
料金/無料(三溪園入園料別途)
「フランスと日本文化の Conversation ショーメのサヴォワールフェールと日本の名匠 3人との対話」公式サイト
https://www.chaumet.com/jp/virtuoso-conversations
Senior Writer:津島千佳