令和のカリスマ店員を発掘する接客コンテスト「STAFF OF THE YEAR 2025」にて見事グランプリに輝いたのは【トゥモローランド 丸の内店】で販売員をする仁藤さん。販売員という仕事が大好きだという仁藤さんは、色や柄を組み合わせたスタイリングがお得意です。そんな仁藤さんの大会でのスピーチに注目が集まりました。

毎朝のスタイリングを考える時間で晴れやかな気持ちに

仁藤さん:販売員歴12年。現在は、トゥモローランド 丸の内店勤務。「STAFF OF THE YEAR 」2024年大会では予選敗退。再挑戦となる2025年大会ではラウンド1で敗退するものの、敗者復活枠で再び戦線復帰。見事グランプリを勝ち取った。

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「ファッションを通して心を豊かに。これは私が大事にしている想いです」

令和のカリスマ店員を決めるコンテスト「STAFF OF THE YEAR 2025」のファイナルステージ審査のスピーチで仁藤さんはこう話し、観客を惹きつけました。

「STAFF OF THE YEAR」とは、令和のカリスマ店員を発掘する接客コンテストのこと。2025年大会で5回目の開催となる、株式会社バニッシュ・スタンダードが主催する大会です。全国の約3000ブランドの販売員が、オンラインとリアル双方の接客技術などを競い合います。ファイナルステージまで進めるのはわずか14名。昨年の10月に開催されたファイナルステージでは、舞台上で1on1の接客ロールプレイングバトルや、スピーチが行われました。そのスピーチに込めた思いを仁藤さんはこう話します。

「好きなお洋服を着ると、今日の仕事でプレゼンがちょっとうまくいきそうだなと思ったり、気持ちが晴れやかになったり、プラスになる作用が働く、それがお洋服の魅力だと思うんです。

同じ業界で働く方のためにも、この業界をこれから目指す方々のためにも、【アパレル販売】のイメージをプラスにしたいという思いがありました。”これだけ楽しいことなんだよ”みたいなことや、お洋服の魅力をスピーチでお伝えできたのが良かったと思っています」

「今は、世の中なんでも効率的になり、スマート化していると感じることがあります。SNSにも、お肌の色がイエベだからこの服を着て、プチプラ服のこの服をこう着ると高見えするとか、スタイリングを楽しむというより、正解を求めている投稿が多い気がしています」

「でも、”今日はどのお洋服を着ようかな”と考えてるその時間も、すごく豊かだと思うんです。私はそういうお洋服の力を信じています」

子供の頃から服が大好き!

仁藤さんは、服飾の専門学校で勉強をしていたという経歴はない。でも、子供の頃から服が大好きだったと言います。

「お洋服が本当に大好きだったので、販売員という仕事を選びました。子供の頃はプリンセスの服が大好きで、ドレスを纏うことで何かになれる気がしていました。そういったお洋服を着た時の嬉しさや、選ぶ楽しさを仕事にしていきたいという気持ちがありました。

仁藤さん提供

「実家でお正月に毎年着物を着るんですけれども、美しい色とか柄を組み合わせた着物だったり、帯のデザインも美しいものばかり。帯止めの組み合わせが違うだけで、同じ着物でもちょっと変わって見えたりだとか、そういうことも通して必然と服が好きになっていったのかもしれないです」

2017年に仁藤さんはトゥモローランドの販売員となる。トゥモローランドで販売している服はもちろん、店舗の雰囲気も、働いている人々のスタイリングも洗練されていて、そこに魅力を感じたのだそう。

「トゥモローランドにご来店いただくと分かると思うのですが、お店によって少しずつ雰囲気が違うんです。商品の表現の仕方も変化があって、自分の接客の中でもコーディネートで個性を出していくこともできるし、型にはまりすぎていない自由さがあるところがブランドの魅力だと感じています」

販売員という仕事は”答えがないから楽しい”と仁藤さんは話す。

「誰が来るって決まっているわけじゃないですし、お客様がその時にどういう気持ちなのかは、お話してみないと分かりません。ゼロからご提案していくと思うんですけど、それが私は楽しいですし、お客様も楽しんでくださっていたら嬉しいです。お客様との会話の中で、私自身も想像していなかったスタイリングが出来上がって、ちょっとときめいたり。お客様と寄り添って考えるところが楽しいんです」

SNSで見てくださっているお客様の期待に応えたい

実は、「STAFF OF THE YEAR」は2度目の挑戦。2024年は予選敗退し、2度目の挑戦となる昨年の2025年大会ではラウンド1で敗退するものの、敗者復活枠で勝ち上がりました。

「昨年も出場していたことで、すごく期待してくれるお客様や、SNSを通して私を知ってくださっているかたが全国にいらっしゃって、ご来店時やDMなどで”来年も楽しみにしてます”と応援してくださいました。これは期待に応えたいと思い、2025年も挑戦しようと思いました。出場している私を見てお客様が楽しんでくださることが嬉しくて」

STAFF OF THE YEARの2ndステージ審査では、特設サイトで1日10票を【推しスタッフ】に投票できるWEB投票審査があります。仁藤さんもこの期間に、工夫を凝らしたたくさんのコーディネートを自社サイトに投稿し、一般視聴者からの人気票を集めました。

「私は、肩幅がないので、顔が大きく見えてしまう体型なんですね。なので、普段でもちょっと立体感のあるものを上半身に持ってくることが多いです。長めのジャケットやジレを羽織ったり、カーディガンを巻いたり、ペプラムのビスチェを重ねたりするのも良いと思います」

お客様の想像の一歩先をいくようなコーディネートを考える

店舗販売員によるSNSや自社オンラインサイトでのスタイリング投稿は、大会時に限らず、今では当たり前のようにさまざまなブランドで行われています。

「投稿では、私らしさは忘れず、洗練されたコーディネートを組むことを心がけています。

通販の商品ページの下に私のコーディネートが掲載されるので、お客様が想像できるスタイリングの1歩先をいくようなコーディネートを組むことが理想的。大会中はとにかくスタイリング投稿数を増やさなくてはならないので、1日に10コーディネートくらいの撮影を店舗オープン前に行っていました」

「色や柄の掛け合わせが、私の強みだと思っているので、ベーシックなスタイリングのブラウスに柄をちょっと入れてみたりだとか。華やかな色合わせ、柄と柄の組み合わせは、1日に10着撮影するうちの何着かに取り入れて、リアル感を追求しながらも華やかさを出し、スタイリングページにメリハリをつけていきます。

まるで、ファッション誌の1ページのコーディネートを組んでいるような気持ちです。それが楽しいんです。

見てくださった方が、”この色とこの色の合わせが合うんだな”とか、”この洋服だったらこういうレイヤードがあるんだ”とか。”足元は意外とこれだったらできるかも”など、驚きや発見を得てもらえたら嬉しいです」

接客業に加えて【ERDEM】などインポートブランドの買い付けも

仁藤さんは自身のスタイリング技術の高さから、柄使いを得意とするロンドンのブランド【ERDEM(アーデム)】の買い付けなどもバイイングチームと共に行っています。華やかなインポートブランドのアイテムを使用しながら、自社ブランドを掛け合わせてスタイリングを組むのがお得意です。

「店舗に立っているとお客様がリアルに求めていらっしゃるものが分かります。フェミニンで凛としていて、華やかで心ときめくアイテムはないかと本社にも投げかけていたのですが、その中で出会えたブランドが【ERDEM】なんです。【ERDEM】は毎年フラワープリントを出すんですけれども、デザイナーの緻密なリサーチによるストーリーがしっかりあって素敵なブランドです」

販売員でありながらも、自分の得意を極めて仕事の幅を広げていくトゥモローランド 丸の内店の仁藤さん。「STAFF OF THE YEAR 2025」でグランプリを受賞して以降、取材を受ける機会も増えてきたと言います。

「歴代のSTAFF OF THE YEARのファイナリストの方々は、販売員を軸にSNS発信をされていたり、その講師をされていたりする方もいらっしゃいます。今は具体的に自分に何ができるかわからないですが、店舗に販売員として立つだけでなく、お客様にお洋服の魅力を伝えるお仕事も続けていけたら良いなと思っています」

現在仁藤さんは妊娠中。「STAFF OF THE YEAR 2025」を走り切り、2月末より産休に入る。

Photograph:細谷悠美
Senior Writer:柳堀栄子