キーワード1)
パワーエレガンス 強くたおやかな女性像
Chika Kisada 2025-26年秋冬コレクション
出典:チカキサダ強さとフェミニンを兼ね備えた女性像が2025-26年秋冬の主役です。多面性を秘めた、型にはまらないキャラクターを引き出すのは、上下で別のムードを帯びた装い。シルエットもコントラストを際立たせて。タフ感とエレガンスのマリアージュです。
カーディガンと、ビジュウ付きのシアースカートを引き合わせました。「ミラ ショーン バイ チカ キサダ」も手がける幾左田千佳デザイナーの「Chika Kisada(チカキサダ)」からの提案です。膨らんだ裾のように見えるのは、パフ付きのベルト。立体的なシルエットを引き立てました。バレエ&ウエスタンの靴が足元でもミックス感を漂わせています。
キーワード2)
ヴィンテージフェティッシュ 懐かしげで官能的
FETICO 2025-26年秋冬コレクション
出典:フェティコ昔を懐かしむようなノスタルジック気分が一段と濃くなってきました。流行に左右されない「タイムレス」なロングトレンドを背景に、レトロ感やヴィンテージ風味を盛り込むのが今の流儀。スタイリングの決め手はレイヤード。スリリングなフェティッシュ(官能性)を加えれば、ミステリアスな風情に仕上げられます。
真っ赤なシアー系ニットトップスに、キャミソールワンピースを重ねて、妖艶なたたずまいに整えました。フェティッシュなテイストが持ち味の「FETICO(フェティコ)」ならではのコーディネート。「真知子巻き」風のストール使いが懐かしげ。リップとキャミソールの赤トーンもムードを濃くしました。
キーワード3)
ウォームエフォートレス くるまれ癒やされ
HARUNOBUMURATA 2025-26年秋冬コレクション
出典:ハルノブムラタ先の見えにくい状況もあって、自分を守るような装いが提案されています。主役はアウター。体をしっかり包み込むようなコート類は気持ちまでくるんでもらえそう。気負わない自然体の着こなしが伸びやかなエフォートレスルックに導きます。
ふわふわ素材の膝丈コートに、ケープ風の同素材を重ねたのは「HARUNOBUMURATA(ハルノブムラタ)」。「ユニクロ」店舗内でも買える「PLST(プラステ)」でウィメンズラインのクリエイティブディレクターを務める村田晴信氏のブランドです。「羽織る癒やし」とも呼べそうなハートウォーミングな装いに仕上がりました。
キーワード4)
タフ&ソフト 素材のコントラストくっきり
TELMA 2025-26年秋冬コレクション
出典:テルマ一筋縄ではいかないようなキャラクターを示すスタイリングが勢い付いてきました。異なる素材感はムードをうまく混在させてくれます。タフ感とソフトさを交わらせる組み合わせが効果的。たとえば、レザーやファー。ニット、レース、ラメなども異素材ミックスに役立ちます。
複雑な加工を重ねた、「TELMA(テルマ)」のアウターはムートンのような風合いを見せています。糸から作り上げる取り組みでも知られるデザイナーならではの仕上がり。リサイクルポリエステル素材のドレスに重ねました。ラメタイツ、ソックスで足元も異素材ミックス。フェイクファーのクラッチバックがソフトな質感を寄り添わせています。
キーワード5)
スポーツロマンティック 上下で大胆にムードチェンジ
BASICKS 2025-26年秋冬コレクション
出典:ベイシックススポーティーな装いが一段と盛り上がってきました。でも、全身をアスレティックにまとめるのではなく、ロマンティックな雰囲気を混ぜ込むと、全体がこなれて映ります。ムードの異なるテイストミックでは上下で大胆に表情を変える着方が選択肢になります。
東京・表参道に旗艦店を構える、スポーツテイストのアレンジが得意な「BASICKS(ベイシックス)」は上下でガラリと雰囲気を変えました。上半身はジップアップのトラックジャケット風。一方、ボトムスはエアリーなロングスカート。質感もシルエットも上下でずらして、意外感を高めています。キャップも格好のバイプレーヤーぶりです。
キーワード6)
アナザープレッピー 適度な着崩しでこなれ見え
tiit tokyo 2025-26年秋冬コレクション
ティートトウキョウ英国紳士服の伝統に連なるトラッド系の装いがリバイバルしています。アメリカの学生ルックから広まったプレッピーは程よい着崩し感が持ち味。上品さやメンズ風味を残しつつ、少しくだけた感じでアレンジする「アナザー感覚」を意識すると、ウィメンズでまといやすくなります。
上下が同じ素材でそろったスーツ風の出で立ちですが、ジャケットのボタンを御多めにはずしてルーズめに着こなしました。膝下の景色もオーソドックスな見た目から適度にずらしています。一見、正統派でありながら、ところどころでまとまりすぎを避けた、「tiit tokyo(ティートトウキョウ)」の巧みなアレンジ。自然なこなれ感が備わりました。
ミックステイストが深まる2025-26年秋冬シーズンは手持ちワードローブの組み合わせを試すチャンスです。着こなしのコツは「ちょっと強引」の掛け算。お仕事スーツやお呼ばれドレスにも、意外な出番を用意できるかも。今のうちからあれこれと組み合わせパターンを「予習」しておけば、秋からのおしゃれを上手にバージョンアップできそうです。
ファッションジャーナリスト 宮田理江