キーワード1)
定番デニムにサプライズを
Maison MIHARA YASUHIRO 2025年春夏コレクション
出典:メゾン ミハラヤスヒロありふれた見え具合を抜け出すようなサプライズを仕掛ける装いが勢いづいています。仕立てやディテールに意外感を盛り込む演出です。シャツを2枚重ね、上からオーバーサイズ気味のデニムジャケットを羽織ったような装い。実はシャツ2枚とデニムジャケットの3枚でワンアイテムのアウターです。ボトムスはデニム仕立てのパンツとスカートがドッキング。パンツ部分に脚が通っていない軽やかな構造です。「Maison MIHARA YASUHIRO(メゾン ミハラヤスヒロ)」は職人技に強みを持つブランド。パリ・コレクションの常連で、毎日ファッション大賞も受賞し、そのクリエイションは国内外で高く評価されています。
キーワード2)
シアー素材をハンサムに
Chika Kisada 2025年春夏コレクション
出典:チカキサダ透けるシアー服は春夏の常識になってきました。見慣れたアイテムになった分、バリエーションが広がっています。たとえば、クールなマスキュリン風の着こなしはその一例。透けるジャケットの内側にブラトップを忍ばせて、シアー感を際立たせました。一方、ボトムスはミリタリー風パンツでタフ顔に。サボシューズは甲の上にチュールラッフルをたっぷりあしらって、パンツ裾をフリルで飾ったようなドラマティックな見え加減に。「Chika Kisada(チカキサダ)」のデザイナーは元バレリーナ。バレエライクな装いを広めたことでも有名です。
キーワード3)
スポーティをフェミニンに
FETICO 2025年春夏コレクション
出典:フェティコお出かけ気分に誘うような、スポーティ感をミックスするアレンジが提案されています。なかでも鮮度が高いのは、フェミニンな仕上げ方。デニムジャケットに白レザーのウエストポーチを添えて、アクティブな印象に。白いフリンジを垂らして、さらに動感をアップ。マキシ丈のタイトスカートには白スニーカーを合わせて軽やかに。青×白のクリーンなトーンでありながら、凜としたムードも備えています。「FETICO(フェティコ)」は身体のラインを引き立てつつ、コンフォートなボディコンシャスが人気の気鋭ブランドです。
キーワード4)
ボヘミアンをほんのり甘めに
tiit tokyo 2025年春夏コレクション
出典:ティート トウキョウ気負わずのどかなボヘミアン風のテイストが支持を広げています。今シーズンのポイントは甘さをひとさじ取り入れるところ。ほんのりガーリーテイストをまとわせると、一段とこなれた着映えが叶います。レースのトップスとスカートは涼やかさも申し分なし。ストラップシューズでレディー感も添えました。クラウンの深い帽子でボーホー流に。「tiit tokyo(ティート トウキョウ)」は「日常に描く夢」をコンセプトに据えたブランド。ストーリー性を帯びた、エレガントで叙情的な作風が特徴です。
キーワード5)
バルーンルックをエレガントに
MURRAL 2025年春夏コレクション
出典:ミューラルドレープや量感でゆったりしたシルエットを描き出すルックが盛り上がりそうです。注目フォルムは断然、バルーン。名前の通り、風船ライクに朗らかな曲線を帯びて膨らむ形です。ふんわりと空気をはらんだトップスに、グラフィカル柄のプリントで彩ったロングドレスで合わせて、ボリューミーで存在感ある装いに。2025年のトレンドカラーのホライゾングリーンを思わせるグリーン系のやわらかい色調も今の気分。「MURRAL(ミューラル)」は、「平凡な日常に少々のドラマチックを」をコンセプトに掲げるブランド。オリジナルのテキスタイルや繊細な刺繍を強みとし、独自の世界観を築いています。
キーワード6)
お仕事服をオンリーワンに
KEISUKEYOSHIDA 2025年春夏コレクション
出典:ケイスケヨシダありきたりになりがちなオフィスルックに、控えめな主張を盛り込むのが世界的新トレンドの「オフィスサイレン(Office Siren)」です。ミニマルな仕事服に変化球を投げ込む感じで、オフィスにふさわしい節度を保ちつつ、ディテールで自分らしさを示す着こなしです。トップスにあたる部分は実はジャケットの裏地。ジャケットの表地と裏地の間に身体を通す構造です。スカートはダブルウエストの仕立てでシャープな印象に。「KEISUKEYOSHIDA(ケイスケヨシダ)」は今季は「ミニマル×モード」の新テイストを示し、お仕事コーデの選択肢を増やしました。
脱・定番が気分 着こなし拡張のチャンス
2025年春夏シーズンはトレンドの幅がぐんと広がりました。全体に共通しているのは、ファッションをプレイフルに楽しむ遊び心。定番アイテムにひねりを加えたり、自分好みのテイストを見つけやすくなっているから、これまで挑戦したことのなかったスタイルにも手を伸ばしやすくなっています。この機会に、着こなしのレパートリーを広げてみませんか?
ファッションジャーナリスト 宮田理江