自分らしいおしゃれ バッグに個性と幸運感
チャーム人気を押し上げているのは、周りと少しだけ違うおしゃれを楽しみたいという気持ちです。シンプルやベーシックが浸透して、見た目の違いが薄れる傾向が続く中、チャームで自分らしさを示したいと望む人が増えてきたようです。アクセサリーから広まった、お守りやラッキーアイテム的な飾り小物の使い方も発展。バッグに個性と幸運感を添えるチャーム使いが盛り上げってきました。
「アンテプリマ」はチャームの種類が多彩です。ワイヤーバッグをぎゅっと小さく縮めたようなワイヤーキーは鍵が収まるミニサイズ。ワイヤーバッグと同じ素材やフォルムがレディーライク。華やぎも十分です。スヌーピーファミリーやパンダ、フルーツなど、モチーフはいろいろ。数字やアルファベット1文字のチャームは自分のラッキーナンバーやイニシャルをお守り的に携えたくなります。
トレンドカラーの「モカ・ムース」で穏やかムードに
流行のカラーを取り入れると、装いに今の気分が加わります。世界の色トレンドを左右する、アメリカのパントン社が発表した2025年の色はコーヒーとチョコレートをミックスしたような「モカ・ムース(Mocha Mousse)」。装いに落ち着きをもたらす色です。
モカ・ムースを薄めたようなトーンのシアー(透ける)素材で仕立てたジャケットとパンツのセットアップです。シアーなピンクトップスがフェミニン感を添えています。きらめくワイヤーバッグ&チャームもモカ・ムースに通じるブラウン系。全体が穏やかな雰囲気にまとまりました。
流行色のホライゾングリーンで自然体テイスト
流行色はそれぞれの国・地域でも打ち出されます。日本流行色協会が発表した2025年のトレンドカラーは「ホライゾングリーン(Horizon Green)」。青みを帯びた緑で、海や森に通じる、自然界を思わせる色です。
ホライゾングリーンのような色合いを装いに生かすには、濃淡の異なるトーンを組み合わせるアレンジが重宝です。濃いめグリーンのミニ丈ワンピースに、淡いグリーンのスーパー長袖シャツをオン。さらにほのかなカーキ系のジレもミックスしました。きらめくモスグリーン系ワイヤーバッグ & チャームが一段と同系色の響き合いを深くしています。
ピンクのミニバッグ&シアー服で大人チャーミングに
チャーミングな装いがトレンドに躍り出てきました。幼く甘い感じではなく、大人っぽくエアリーに着こなすのが今年の流儀。ガーリーな印象の強いピンクも、甘さを抑えれば、優美にまといやすくなります。
涼やかなメッシュ系素材は春夏にぴったりの着心地です。複数の同系色アイテムを重ねて、表情を深くしました。赤のバレエシューズがピンクの合わせを引き立てています。ピンクのワイヤーバッグ & チャームがキュートさを添えました。ミニバッグ形のモチーフは愛嬌たっぷりです。
スポーティテイストにきらめきプラスで格上げ
ウエアとバッグの雰囲気をずらすと、全体がこなれて映ります。勢いが続くシアーやスポーティーに別ムードを引き合わせるスタイリングも増える流れに。バッグをアクセント使いするあしらい方。アクティブな装いにエレガントなバッグを引き合わせるのも効果的です。
スポーティーなシアートップスは色がうっすらとミリタリー風味も帯びています。指先まで隠す長袖がのどかな気分。ミニ丈ボトムスがヘルシーさも寄り添わせました。一方、宝石のようなシルバー & ホワイトのワイヤーバッグ & チャームには気品が漂います。適度なずれ感が全体のムードに奥行きを加える格上げスタイルです。
ミニバッグ&チャームで大人の遊び心を注入
服がシンプル寄りにシフトする一方で、バッグに主張や華やぎを託すスタイリングが勢いづいてきました。チャームはバッグに添える使い方が一般的ですが、近ごろはもっと目立つあしらい方のバリエーションが広がってきました。バッグから離して提げたり、指に引っ掛けたりなど、持ち方を工夫すると、バッグ周りの動きが強まります。
シャツの上からグリーン系のシアートップスを重ね、パープルのメッシュ仕立てボトムスで大人エアリーな佇まい。グリーン × パープルのコントラストがリズミカルで涼しげ。そこに、グリーンのバッグとチャームが差し色効果を発揮。ミニバッグ形のチャームは指に引っ掛けてファニーな雰囲気に。大人の遊び心が演出されています。
2025年春夏ファッションはバッグから始まる 愛着を持たせる新コーデ
「アンテプリマ」はクリエイティブ・ディレクターの荻野いづみ氏が1993年、バッグを軸に立ち上げたブランドです。今ではラインアップが広がって、ウエアや靴、アクセサリーなども手がけています。ワイヤーバッグは代名詞的なヒットアイテム。長くミラノ・コレクションで発表を続けていることでも有名です。
2025年春夏ミラノ・コレクションではシアーな質感で楽観的な世界を表現。「不完全さに宿るエレガンス:形なきエナジーと不完全な美」をテーマに選んで、遊び心や躍動感を印象付けました。
チャームを上手に使えば、手持ちバッグから新たなムードを引き出せます。装いが薄く軽くなっていく春夏に、バッグ周りは大事なおしゃれ演出スポットとなるだけに、わずかなプラスアルファで印象を変えやすいチャームはコストパフォーマンス面でも魅力的。愛着を持てるお気に入りチャームは、バッグに目を向けるたびに気持ちまで弾ませてくれそうです。
ファッションジャーナリスト 宮田理江