重たくなりがちな冬ルックの「救世主」が帽子です。見た目が印象的な帽子はキャラクターイメージを演出するうえでも効果的です。英国の帽子ブランド「misaharada(ミサハラダ)」はデザイン性の高さで有名。英国ロイヤルファミリーやセレブリティーにも愛用されています。伝統的な帽子のルールにとらわれない、ひねりを加えたクラシックは装いをアップデートしてくれます。今回は帽子を上手に使った冬のコーディネートをご紹介しましょう。

フェミニン×ハンサムを帽子1つで演出

misaharada 2024-25秋冬コレクション

出典:ミサハラダ

「ミサハラダ」の帽子はこれまでのイメージにとどまらない「技あり」のデザインが魅力です。性別の枠を意識させないような帽子はジェンダーレスが勢いづく今のおしゃれトレンドにもマッチします。

リボンとベールがフェミニン感を漂わせる一方、帽子の形はハンサムなムードという、ジェンダーミックス風のデザインです。ベージュの穏やかな品格が薫ります。ウエアはトレンドカラーのブラウンを選んで上品な雰囲気に。雰囲気の近いベージュとブラウンは好相性。帽子のクラウン(中央部)に高さがあり、小顔効果も期待できそうです。

ベール付きベレー帽でムーディーに

misaharada 2024-25秋冬コレクション

出典:ミサハラダ

日本でもファンが多いベレー帽にはミリタリーやボーイッシュなイメージがあります。印象的な赤で彩ったタイプを選べば顔周りを明るく演出してくれます。ベールとのコンビネーションで、さらにノーブル感も加わりました。

赤が深いクリムゾンレッドのベレー帽が視線を高く引き上げて、全体が縦長に映っています。ところどころにハートのモチーフが忍び込ませた黒いベールが赤との絶妙なコントラストを生みました。鮮やかなブルーのニットトップスに、イエローのネックレスを載せてポップにアレンジ。多彩な色を配置する「カラーブロッキング」は冬ルックにエナジーを注ぎこんでくれます。

ビーニーをモダンエレガントに昇華

misaharada 2024-25秋冬コレクション

出典:ミサハラダ

冬の帽子といえば、やはりニット帽が定番です。まとまりにくい日の髪型もカバーしてもらえます。ストリート感の強いイメージがありましたが、ベール付きのタイプなら上品さが薫ります。大人のエレガントカジュアルにもぴったりです。

ビーニー(ニット帽)のイメージを素敵に裏切る提案です。クリスタルのベールとリボンが付いた、キャメルウール100%のニットビーニー。丁寧に仕上げられたベールがビーニーを格上げ。ウエアはグリーンのニットトップスで合わせて、「ニット×ニット」のハーモニーに。大ぶりなゴールドネックレスで華やぎを添えています。

ストリート×ロマンティックの調和

misaharada 2024-25秋冬コレクション

出典:ミサハラダ

ベースボールキャップはカジュアルな使い方が一般的でしたが、デコラティブでロマンティックな新顔が登場しています。服にビジューや手工芸などのディテールで華やぎを加えるのがトレンドですが、帽子にもそうした装飾が持ち込まれるようになってきました。

帽子の縁にぐるっと配したパールモチーフがゴージャス感を寄り添わせました。主な素材はブラックのリサイクルフェイクスエード。黒×白のコンビネーションが黒主体のコーディネートに上品な雰囲気をプラス。ネックレスやイヤリングなどのジュエリーよりも個性を示しやすく、着こなしのムードメーカーになってもらえます。

帽子を自己表現のツールに 「misaharada」で冬コーデを格上げ

misaharada 2024-25秋冬コレクション

出典:ミサハラダ

インパクトが強めの帽子は顔周りに凜々しいキャラクター像を生み出します。顔に最も近いパーツの帽子はセルフプロデュースにうってつけです。アニマルモチーフが全体に施されたウールフェルト製キャップは「かぶるエンパワーメント」といった存在感です。パテントリボンがあしらわれ、左サイドにはブラックのMHロゴ付き。シンプルなニットトップスにもしっかり主張を盛り込める帽子使いのスタイリングです。

ベールやリボン、パールモチーフ、アニマル柄などトレンドのディテールを帽子で取り入れると、それだけで今年らしい冬コーデに仕上がります。「ミサハラダ」の2024-25年秋冬コレクションは、マンガ(日本のコミック)の世界、特に女性キャラクターの世界から着想を得ています。

「ミサハラダ」は原田美砂デザイナーが1998年にスタートしたブランドです。生前のエリザベス2世女王をはじめとするロイヤルファミリーにも愛用されてきました。帽子を自己表現の道具と位置付け、オートクチュールテイストのアイテムを割と求めやすい価格で提供しているのもファンが多い理由です。

寒さをしのぐアウター類はデザインの選択肢が限られがちですが、帽子のバリエーションはずっと多いものです。その日のお出掛け先や着こなしイメージに応じて自在に使い分けやすいのも帽子のよさ。この冬は新顔のデザイン帽子を迎えて、コーディネートのレパートリーを広げてみてはいかがでしょう。

ファッションジャーナリスト 宮田理江