【ゴキゲンズ】を通じて改めてPRの大変さを痛感中
――【ゴキゲンズ】の活動を通して、本業に還元されることはありますか?
藤井 まず衣装ですね。ステージごとに(高橋)愛ちゃんが遊園地とかデニムとかテーマを決めて、それに基づいてセルフスタイリングをしています。私は【ビームス】のアイテムと私物を混ぜてコーディネートすることが多く、インスタでは衣装のブランドのタグ付けしています。【ビームス】を知ってもらえるきっかけになってもらえればと思っています。
藤井 ユニットのSNS発信は主に私が担当していますが、【ゴキゲンズ】のPRは難しいなと思うことも。【ビームス】は世の中にある程度浸透しているうえでの情報発信だから、わりと話題にしていただきやすい。だけど【ゴキゲンズ】の場合はゼロから始めているので、知らないものを周知させていくのがめっちゃ難しくて。
――0を1にする大変さ。
藤井 1→10と0→1って、難しさが全然違いますよね。PRの仕事を知っているからといって、0→1が上手なわけでなく、愛ちゃんがいるからとすぐに広まるわけでもなく、共感を得られるわけでもなく。知名度の向上とユニット活動の本質を知っていただくことの困難さを感じていて、PRの手法はすごく模索している最中で勉強になります。
――【ゴキゲンズ】のPRをするうえで心がけていることはありますか?
藤井 私はユニット内で唯一ファン目線がわかるので、好きなアイドルにこんなパフォーマンスをしてほしいって気持ちを活かせられればと思っていて。その一つがセットリストを考えること。いろんなアイドルが集まる大型フェスに出演させてもらう際は【ゴキゲンズ】を知らない人へのフックにするため、モー娘。の曲を入れたりとか。愛ちゃんに歌ってもらえるのが嬉しいっていうのもあって、セットリストは楽しみつつ作っています(笑)。
SNSのタイムリーな発信も重視していて、ライブ後にすぐにセットリストを発信するとか。ファン目線のPR活動とセットリスト作りをがんばっている最中ですね。
異動した部署でハロプロとの仕事が実現!
――本業では2024年春には、プレスからビジネスプロデュース部のディレクターへ異動されました。
藤井 クライアントさんからの依頼に応えるBtoBの部署で、今なんとハロプロさんとお仕事をさせていただいているんです! ハロプロの皆さんがレッスンの時に着るジャージのセットアップとTシャツをプロデュースさせていただき、メンバーに着てほしいデザインだけでなく機能性も重視して制作しました。企画だけでなくビジュアルのディレクションやスタイリングも担当させてもらって、もう本当に幸せです。
藤井 ただ一つ心配ごとがあって、今回は受注発売もするんです。女の子がどうジャージを着こなしたいかって気持ちはわかっても、男性の心理はそこまでわからない。ハロプロの男性ファンにも気に入ってもらえるのか、どう評価されるかわかるまでめちゃくちゃ緊張しています。
――追っかけていたグループと仕事でもつながるなんて、なかなかできない経験です
藤井 【ビームス】はアーティストのツアーやライブグッズの制作実績も多いですが、自分の推しと仕事ができることは貴重ですね。【ビームス】の仕事でハロプロ好きの人とつながれる瞬間も嬉しいですし。今回に限らず芸能案件はファンの方の目線に立ち、クライアントのご要望に寄り添い、企画を考えるようにしています。【ゴキゲンズ】の活動で得た経験を活かせると思うので、そういう幸せな循環が起こればいいなって。
本業ではできないことを経験できるのが副業を持つよさ
――本業での目標はありますか?
藤井 もともと目標を立てることが苦手なんです。【ゴキゲンズ】の活動にしても自分が一番目立ちたいタイプではないですし。個人的に何か成し遂げたいよりも【ビームス】の役に立ちたい気持ちが強いですね。本業でも副業でも「好きを言葉に変えて」行動に移していきたい想いは常にあります。
――最後に副業を持つよさを教えてください。
藤井 私は好きを追求できるし、本業ではできないことが経験できることはいいですね。【ゴキゲンズ】の仕事はみんなで助け合いながら進行していて、ファッション好きな愛ちゃんや私が衣装を貸し出したり、あべ(こうじ)さんやメンバーが営業してくれたり、ワンマンライブのチケットをECサイトで販売する事務仕事したり、ライブの時は愛ちゃんとあべさんが会場の設営をしてくれたり。愛ちゃんは作るのが楽しいとグッズ制作も積極的にしてくださっていて、ペンライトにTシャツ、アクスタ、うちわ、タオルなど、どんどん増えています。公式オンラインショップも愛ちゃんが作ってくれたんですよ。
藤井 愛ちゃんの本業は演者だけど【ゴキゲンズ】では裏方もして、私の本業は裏方だけど【ゴキゲンズ】では人前でパーフォマンスして。本業ではできないことを体験できて、それぞれの成長につながるっていいなって感じています。
Photograph:川本史織
Senior Writer:津島千佳