シンプルコーデに足元から「差し色ムード」
ミネトンカの靴は程よく目を引くから、シンプルになりやすいサマールックに印象を添えるのにぴったり。たとえば、白Tシャツとジーンズという、素っ気ないほどにカジュアルな装いでも、定番モカシンの「KILTY(キルティ)」を足元に迎えるだけで、ネオボヘミアンなムードが加わります。
キルティには幅広いカラーバリエーションが用意されているので、差し色使いに便利です。こちらは万能カラーのブラウン。アッパー素材のスエードがソフトな雰囲気を醸し出します。クラシックなモカシンは自在に履きこなしやすいタイプ。足運びに連れて揺れるフリンジも格好のアクセントです。
職人技が光るロマンティックボヘミアンに
ネオボヘミアンのスタイリングではフォークロアやエスニックの雰囲気が重視されます。バンダナ柄が印象的な、グリーン系のワンピースに引き合わせたのは、ビーズ刺繍が施されたモカシン「THUNDERBIRD ANIMIKII(サンダーバード アニミキイ)」。24年春夏コレクションのメインアイテムとして仲間入りしたモデルです。ロマンティックボヘミアンのムードが濃くなりました。
アメリカ先住民族、ネイティブアメリカンの伝統を受け継ぐビーズ使いは手仕事感を寄り添わせてくれます。職人技を生かすのも今のトレンドです。サンダーバードはネイティブアメリカンの間で広く信仰されてきた、幸せを運ぶモチーフ。靴がアクセサリー的な役割も果たして、装い全体の格上げがかなう使い方です。
都会的ウエスタンでスタイルアップ
カウボーイ風の装いがトレンドに浮上してきました。きっかけはビヨンセ。ウエスタン風のアレンジが盛り上がっています。カウボーイ柄のヴィンテージプリントTシャツに、長め丈のジレ(ベスト)をオン。程よくウエスタン気分を取り入れました。
靴は厚底ウェッジボトムでコルクソールの「POSEY(ポセイ)」をチョイス。自然な脚長効果も発揮するスリップオンサンダルです。ジレ、パンツと近いナチュラルカラーがウエスタンの装いになじんでいます。アッパー素材のファブリックにはストライプ柄をあしらいました。アメリカンとボーホー感がうまく響き合っています。
カーゴパンツを柄シューズで穏やか見せ
ロングトレンドになっているカーゴパンツにはタフ感が伴いますが、靴でイメージをずらすと、全体がこなれて映ります。モカシンのスリッパ「CALLY(キャリー)」を足元に迎えれば、ムードが様変わり。ネイティブアメリカンのアーティスト、Hannah Standstrong(ハンナ・スタンドストロング)氏のデザインです。
モチーフプリントのTシャツに白系のリネンジャケットを羽織って、リラックス気分と「きちんと感」をクロスオーバー。キャリーはミノカミ(松ぼっくり)の強さと美しさを表現しています。カーゴパンツのアース系カラーと靴の柄が好相性を発揮。カーゴのストリート感をやわらがせました。
ブラックコーデにボアでほっこり感
履き口にボアをあしらったタイプは足元にほっこり感を漂わせてくれます。肌当たりがソフトになるのもボアのいいところ。夏後半から秋感を出したいときには靴がキーアイテムに。クールな印象のブラックコーディネートに加えると、穏やかなムードが備わります。
ブラック主体のコーデに迎えたのは、フェイクファーのパイルボアが愛らしいスリッパ「CERISE(セライズ)」。スエードとボアの素材マリアージュが夏服を格上げしてくれます。秋冬のトレンドマテリアルである「ふわもこ素材」をいち早く取り入れて。秋気分を先取りするような見え具合だから、季節の変わり目に重宝しそうです。
タイムレスな魅力がトレンドに ミネトンカ流のネオボヘミアン
ミネソタ州ミネアポリスで設立された「ミネトンカ」。社名の由来は、近くにあるミネトンカ湖にちなんでいます。地元に根付いているネイティブアメリカン文化を受け継ぐハンドメイドシューズで人気ブランドになりました。1960年代以降にヒッピーたちの間で支持を得たことでも有名。彼らが好んだボヘミアンなライフスタイルのシンボルとなり、今も世界中で愛されています。
気負わない雰囲気や、リラクシングな履き心地、装いになじむ表情などが評価され、80年近い歴史を重ねてきました。流行に左右されないタイムレスなたたずまいもファンが増え続ける理由です。シーズンを越えて自分好みに履きこなしやすい「ミネトンカ」を味方に付けて、多彩なネオボヘミアンスタイルを楽しんでみて。
ファッションジャーナリスト 宮田理江