___2023年の無印良品は、色もこれまでと一味違うような気がします。
無印良品といえば、白・ベージュ・黒のようなベーシックカラーのイメージがあったと思うのですが、シーズン性のあるカラーも作ることにしました。世界的なトレンドカラーをそのまま作るのではなく、植物の色とか自然になじむ色をベースに考えています。
「本当に必要なものは何か」という視点で考え、無駄を削ぐことも大切にしているので、カラーバリエーションを作りすぎないというのも大事にしています。
___店頭やECサイトの写真も可愛くなりましたよね?
いままで支持いただいているお客様はもちろん、無印良品の衣服に触れたことのないお客様にも「着てみたい」と思ってもらえるよう、店頭ビジュアルの表現を少し変えることにチャレンジしています。
素材にこだわり、着心地を考えて作られていることが伝わるように、衣服に袖を通した時の心地よさをリラックスした表情や動きで情緒的に表現しています。
___新しいことをたくさんやりながら、それを余り声高に言わず、お値段も結構据え置きなところも印象的です。
値段を上げさせていただいた商品も正直あります。素材の手配から工場の生産まで、いろんな努力をして、リーズナブルな商品ができたというのは自信を持っているポイントです。
その結果であれば光栄なのですが実は、セール価格で買ってもらうお客様ががすごく減ったんですよね。値段を上げさせていただいて価値が上がって売れたものもあれば、うんと値段を抑えて売れたものもある。どちらの場合でも特徴なのは定価で売れる商品が圧倒的に多くなったこと。すごく値引き率が抑制されました。SDGsの観点でも適価適量。セールにならない服を作りたかったので、これは嬉しいことです。
___定価で売れるっていうのは、「長く愛用できる」「定価で買う価値がある」ことがお客様に伝わっているってことですよね。
今変えていっているものを最終的に判断するのはお客様だと思っています。社内での評価よりも、お客様がどう反応してくださるのかを見ながら軌道修正して、いい意味でその期待を超えるようなものを毎シーズン出し続けていくのが大事だと思っています。ちょっとこれは平凡だったなとか、この色はやり過ぎたねとか反省もいっぱいあるので、全然満足していません。これからも変わり続けていきたいと思っています。
Senior Writer:大日方理子