自社システム「デイトナ ライブ」とインスタライブの2媒体で同時配信
コロナ禍以前の2019年よりライブ配信をスタートしたデイトナ・インターナショナル。主に自社システム「デイトナ ライブ」とインスタライブでライブ配信を行っています。
【フリークス ストア】【フリーダ】などブランドごとに新作を紹介するほか、コーディネート提案や売れ筋の商品をランキング形式で見せていくなど、バラエティに富んだコンテンツを配信。リアルタイム視聴者数は2022年がピークでしたが、お出かけの規制がなくなった今年はアーカイブ視聴が増えています。
今回密着した【フリーダ】は、ディレクターの小笠原希帆さんとプレスの鈴木栞奈さんのやりとりが楽しいライブ配信を毎月1回必ず実施。アットホームな雰囲気の中、わかりやすく商品を紹介してくれると好評で「デイトナ ライブ」とインスタライブの同時配信の合計リアルタイム視聴者数は合わせて5000人以上、アーカイブを含めると1コンテンツあたり2万回以上の視聴される人気配信です。
それでは配信までどんな準備をしているのか、配信中はどんなところにこだわっているのか、鈴木さんの解説とともに追っかけていきましょう!
必要な情報を精査しながら、アットホームな雰囲気で撮影準備
■17時37分 バックペーパーを敷くなど、スタジオの準備を開始
19時の配信開始に向け、約1時間半前から撮影の準備をスタート。まずは背景となるバックペーパーの設置から。
「【フリーダ】の洋服は色彩がはっきりしているので、バックペーパーも鮮やかな赤や黄色、緑などが多め。今回は秋冬コレクションの紹介なので、こっくりとした色味を選びました」(鈴木さん)
■17時41分 台本のチェック
今回は小笠原さんが2体、鈴木さんが3体の計5体のコーディネートを着用予定。出演する鈴木さんが、裏方を担当するDX本部の千原さんと一緒に紹介すべきアイテムが含まれているか、台本をしっかりチェックしていきます。
「配信中に衣装チェンジをするので、進行が滞らないよう着替えるのが鉄則。着替えが少ないコーディネート順になるよう、この時に着用の順番も決めていきます」(鈴木さん)
■17時51分 アーカイブ告知用の写真撮影
アーカイブされるライブ配信。リアルタイムで視聴できなかった人をアーカイブに誘導するため、【フリーダ】のInstagramに投稿する写真やストーリーズ用の素材撮影も配信前に済ませておきます。
「配信後だと達成感で撮影をし忘れたことがあって(笑)。写真とリール動画で衣装を変えて事前に撮影しておきます。写真は小笠原と私の個人Instagramでもポストして、拡散のお手伝いをしています」(鈴木さん)
シャッターに合わせてポーズを変えていく2人。長年のコンビのように息の合ったポージングを見せていました。
■18時 ライブ配信の告知をInstagramに投稿
できるだけ多くの人に視聴してもらうため、配信日の3〜5日前から自社サイトで告知するほか、当日の昼と配信の1時間前にはInstagramでもお知らせしています。
「普段は木曜か金曜配信ですが、今回は初めての火曜日。いつも見てくださっているファンの方を含めしっかり周知できるよう、入念にアナウンスします」(鈴木さん)
■18時8分 正しい情報を伝えるためのカンペ作り
正しい商品名や金額はもちろん、タイムセールの割引率や実施期間など、配信では多くの数字が飛び交います。間違いのないよう、記憶に頼らずカメラの後ろに設置するホワイトボードに必要な情報を書いてカンペに。
ディレクターの小笠原さんは素材や企画する際に参考にしたモチーフなどを書き込み、スムーズな説明を心がけています。
「視聴者からの質問をすぐに答えるのがライブ配信の醍醐味で、一種の接客だと捉えています。正しい商品情報が伝えられない接客はNG。そんな気持ちでカンペを作っています」(鈴木さん)
■18時15分 社内デザインチームにバナー作成を依頼
先程撮影した写真を送り、それを元に社内デザインチームに自社サイトやオンラインストア、各種SNSで使用するバナー作成をお願いします。これでライブ配信後にはバナーが完成しており、すぐにアップできます。スピード感のある仕事により、ライブ配信を通じた収益も上がっているそう。
■18時47分 配信前、最後の作戦会議
紹介する商品のどこが打ち出しポイントなのか、配信中に食い違いが生じないよう擦り合わせていきます。
「人間なので勘違いもあります。ここでケアレスミスをしっかり潰していきます」(鈴木さん)
臨機応変に対応するのが【フリーダ】のライブ配信の醍醐味
■19時 ライブ配信スタート
今回も「デイトナ ライブ」とインスタライブの2媒体で同時配信。この日は8月末だったため、二人の夏休みの旅行の思い出などを振り返りながら進行していきます。事前に鈴木さんから「ずっと喋りっぱなしです」と言われたとおり、2人の軽妙なやり取りは途切れることなく視聴者を飽きさせません。
撮影には「デイトナ ライブ」用とインスタライブ用に分けて2台のiPhoneを駆使。どういうふうに映っているのか、出演者が確認するためiPhoneの後ろに姿見が設置されています。
2人が丁寧に商品を紹介していく配信中こそが、千原さんが最も気の抜けない時間。「デイトナ ライブ」では、配信中の動画とともに商品の販売ページも同時に閲覧できる仕組み。2人のやり取りに耳を傾けながら紹介している商品の販売ページにリンクを張るなど、裏で作業を進めます。
ディテールを伝える時には、カメラに寄って小笠原さんの思いを交えながら説明していきます。ディレクターのこだわりが生の声で聞けると、その洋服への興味が湧き、購入する際の参考になります。
配信中よく届くのが商品に関する質問。
「動画は写真よりも洋服のディテールが伝えやすいとはいえ、試着ができません。ワンピースの着丈などは、視聴者のみなさんがご自身に置き換えて想像しやすい説明を心がけています」(鈴木さん)
質問が届けばすぐに回答できるよう、モニターの随時チェックは欠かせません。
またライブ配信用に用意していない商品を見たいとリクエストされることも。スタジオの隣はプレスルームのため、サンプルがあれば持ってくるなど臨機応変に対応できるのも強みです。
取材しながら驚いたのは、着替えのためにカメラの前から外れてもちゃんと2人で会話を続けていたこと。妙な間を作らず、ずっと楽しい時間を提供してくれることが【フリーダ】のライブ配信の魅力の一つ。普段から仲のいいメンバーで配信しているからこそ、フレンドリーな雰囲気がそのまま視聴者に伝わり、支持されている一因になっているのでしょう。
新しい販売と広報の形であるライブコマース。まだ視聴したことがない人は、そのスピード感や楽しさを一度体験してみませんか。
Photograph:細谷悠美
Senior Writer:津島千佳