私がシャルルに惹かれる理由
初めて袖を通した時からすっかりシャルルのファン。というのも「可愛いのに子供っぽくない」という新鮮な驚きがあったから。シャルルの服はガーリーでありつつも、「可愛いだけなんて、お断り!」という信念の強さを感じられるような、クラシカルな要素だったり、スタイリッシュな要素だったりが入っていて、それがすとんと一つの服にハマってるんです。
今回はシャルルの全てを作ってきたコンセプターの中村 美由紀さんに、シャルルの誕生からこれからの展望まで、徹底的にお話を伺ってきました。
「退職を決めた」はずがブランド立ち上げに!? シャルルが誕生したきっかけ
シャルル シャトンはファション企業・ベイクルーズグループのブランドの一つですが、その誕生のきっかけが「パワポの練習で作った資料」だというから驚き!
当時は別ブランドのプレスだった中村さんですが、「ベイクルーズには自分にマッチするテイストのブランドがない」と不意に口走ってしまった言葉に、当時の上司が「ないなら自分でつくったら?」と一言。パワポの練習がてら「こんなブランドがあれば良いな」を好きなままに詰め込んだ架空ブランドの企画書を作成していると、自分と向き合うこともできて、「やっぱりプレスは向いていない」と退職を決意したそう。
ただ、「作った資料を誰かに残したいという思い」から、その時偶然通りかかった社長を追いかけ、その資料を手渡し。すると社内のスタートアップコンペにエントリーが決まり、研修や役員プレゼンを経て合格! 架空ブランドを実際にデビューさせることになったのです。これは中村さん自身も予想していなかったそうで、「まさか自分がブランドを持つとは」という心境だったそう。
シャルルの世界観が出来たきっかけ
予想外の展開となった中村さんの構想。そのベースは、「とにかく自分の好きなもの」。中村さんがシャルル シャトンの世界観を作るときに影響を受けたのが、映画監督ソフィア・コッポラの作品をはじめとする90年代カルチャーとのことです。
「理想の女子像は?」と聞くと、「ソフィア・コッポラ自身のスタイル」と中村さん。映画ではガーリーな作品を作っておきながら、ソフィア自身のファッションはシャツにスラックスやデニムだったりと、驚くほどシンプル。それなのに「言語化できない部分で可愛さがある。そんなシンプルで品のあるガーリー」が中村さんとしてもシャルルとしても、究極的に目指すゴールなのだそう。
若い子が安心して「ガーリー」を着続けられるブランドを
ブランドを作るにあたっては、「若い子が安心してガーリーを着続けられるブランドにしたい」という思いも強いと中村さんは話します。というのも、ご自身が年齢を重ねていくにつれて、「30代でカワイイものが好きってなんかダメなのかな??“大人っぽいファッション”をしなきゃという空気感を感じたんですが、しっくりこなくて。大人になっても、カワイイもの、ロマンチックなものが好きなままでも良いんじゃないかという反骨心が原点です」。
だからシャルル シャトンのテーマは、“girl,forever!”。「好きなものを一生」という思いを込めています。「昭和のアイドルがいくつになっても、どこかカワイイ少女のまま。あんな年齢の重ね方をサポートするブランドでありたいと思っています」。
歳を重ねた女性にこそ届いてほしい!
シャルル シャトンをスタートして嬉しかったことがあったそう。自分が影響を受けたカルチャーの世代の方がシャルルを知って会いにきてくれたこと。「『若い女の子だけに向けたブランド』だと勘違いされがちな自分の表現に自信を無くしていたときに、SNSのメッセージや直接お声をかけていただくことがあって本当に救われました」(中村さん)。シャルル シャトンが掲げるコンセプト “girl,forever!”。それが象徴されたような出来事です。
これまでの名品たち
実際シャルルはどんなアイテムが人気? ――ということで、これまでの名品を一挙公開。唯一毎シーズン出しているのがデニムで、中村さんの中では特別なアイテムなのだとか。個人的に名品だと思うのは、画像右の「デニムオールインワン」。発売前から問い合わせが殺到したというこちらですが、胸元がぐっと空きつつ、ウエストがきゅっとしまったシルエットが圧巻。筆者も愛用しているのですが、どこに着て行っても褒められるアイテムです。
カテゴリー別に言うとワンピースが特に人気。中でも60年代のボーディングスクールで生活する女の子をイメージした「bording dress」は受注分が1日で完売するほどの大ヒット商品でした。
また、シャルルは今をときめくアーティストとも積極的にコラボしています。爆発的な人気だったというのは「クリィミーマミ」と韓国アーティスト「Night Tempo」とのトリプルコラボアイテム。Night Tempoは昭和の楽曲をリミックスするDJとのことで、それに合わせてLPレコードに見立てたパッキングで販売するなど、シャルルらしい粋なこだわりも見られました。
これからのシャルル
これからのシャルルはどうしていきたい?という質問に、「独自のサイズ展開を広げていきたい」と答えた中村さん。というのも、実際POP UPの店頭に立っていると、従来のサイズ展開では不十分だと感じずにはいられなかったとのこと。
“ウエストは同じでも股下の長さだけが違う”など、他のブランドにないサイズ展開を広げ、「シャルル独自のサイズ感とシルエットに依存してもらいたい」と考えているそうで、今後はもっと色々な人の要望も聞きながら服を作っていきたいとも語りました。
今年からは品番数を絞り、今まで以上によりアイテム1つ1つをこだわっていきたいとの思いも。また、コアな要望を汲み取るためにも、もっとSNSでもコミュニケーションをとっていくつもりだそうで、これまでよりもっと進化したシャルルを見られるのではないかとワクワクしています。
次のPOP UPでは新コラボも!
そんなシャルルの次のPOP UPは4月28日〜東京にて3日間開催。今回は山形出身のアーティスト「コンビニエンスヤング」とのコラボアイテムも登場。中村さん自身アートワークを購入したほどアーティストのファンだったそうで、個展にて直々に打診し、コラボが決まったとか。仕上がりについては、「ここまでこだわってくれるとは思わなかった」と大絶賛!
終わりに
中村さんの話を聞きながら、歳を重ねても好きなものがずっと変わらない人って素敵だと感じました。今年のAWでシャルルは5周年を迎えます。それに合わせたスペシャルな企画も考えているようなので、気になった方はぜひ注目を。
writer:asaka