スタイリスト・梶雄太さんがディレクション!
2020年春夏にデビューした【サンセ サンセ】は、スタイリストの梶雄太さんがディレクターを務めるアパレルブランド。梶さんは、広告、雑誌ほか、多くの俳優・女優のスタイリングも担当。最近ではフォトグラファーとしての肩書きも持ち、映像作品も手がけるなど、さらに活躍の場を広げています。ご自身がメディアに登場することも多く、その名前をどこかでご覧になった方も多いのではないでしょうか? もちろんファッション業界では有名人! そんな梶さんが手がけるブランドとあって、デビュー時から注目が集まっていました。ブランドコンセプトは、“デザインはないが、スタイルのある服”。とても印象的なコピーですが、そこには、長年スタイリストとして第一線を走る梶さんならではの考えが。
「スタイリストをしてきたというバックグラウンドがあり、スタイルをつくるということに自信があったので」
確かにスタイルのある人って憧れます。でもなかなか上手く表現できないことも……。どんなことを大切にしているのでしょうか。
「ほかのことに惑わされない。着たいものをそのまま表現する。すべての気分を大切に。そのときに思った気分や日常生活(友達との会話やメールでのやり取りなど)から得た際の気分。つまり自分の中のトレンドを大切にしています」
そうして完成した服たちは、一見普通のようで、そうじゃない。例えば広告のようなマンションの写真がプリントされた「日本の物件シリーズTシャツ」や、部長・係長・ヒラでデザイン分けされたシャツなど、梶さんワールド全開。色、シルエット・デザイン背景……どこかしらに遊びのエッセンスが組み込まれていて、それを見つけるたびになんだかうれしくなってしまうのです。
フィクション?
ノンフィクション!?
ブランドならではのストーリー
【サンセ サンセ】のアイテムには、それぞれストーリーが設定されています。読み込んでいくと、クスッと笑ってしまうものから、知識の深さに引き込まれるものまでさまざま。これも「スタイル」を作る上で大きな役割を果たしているように感じます。そして物語はすべて梶さんが執筆しているというから驚き。ここで2022春夏のLOOKから、ひとつのストーリーをご紹介します。
【aniki】
駒沢通りを五本木の交差点で左折し、学芸大学の駅に向かう途中にアニキの経営する会社はある。
みんなからアニキと呼ばれる男は、北野武監督の名作「あの夏一番静かな海」にもローカル サーファー役として本名で出演していた。
今もなおそのパワーは健在で、1人の経営者として、大企業相手の年末の忘年会から年初めの挨拶回りを中心に余すことなく発揮している。
そんなアニキからとったネーミングのこのシャツだが、試着したアニキは想像した以上にまったく似合ってなかったのだった。
気になることだらけの【サンセ サンセ】。続いて、注目の新作をご紹介します。
鮮やかさが目を引く!
ロングジャケット
“purple rain”という曲からインスピレーションを得たというロングジャケットは、その名の通り、目が覚めるようなビビッドパープル。春アウターとしてぴったりな軽やかなナイロン素材に、はっ水加工が施されているので、梅雨時期も頼れる存在に。ウエストのドローストリングでシルエットを自在にアレンジできるのも楽しい。
時代を映し出した
加賀美健さんとのコラボT
梶さんと長年親交のある現代アーティスト・加賀美健さんがイラストを手がけたTシャツ。奇しくもコロナ禍を象徴するワードとなった〈zoom meeting〉を、加賀美さんらしいゆるさと可愛らしさで表現。「数年後、これを見て自分がどう感じるのかを知りたい」(梶さん)という気持ちが込められているとか。
“お父さん“を感じる
定番のセットアップ
ブランド定番のセットアップに、今季のキーカラーとして登場したのは“イエロー”。アイテム名の通り「お父さんが着ていそうなセットアップ」がイメージ。長年愛用できるようスタンダードなシルエットを起用。
メンズライクなパンツで
ボリューム感を楽しむ
”karma police”という曲からインスピレーションを得たパンツは、サンセ サンセらしい遊び心のある配色のオレンジカラー。たっぷりとボリュームのあるメンズライクなシルエットは、女性がダボっと着こなしても可愛い。
今年の干支は寅!
だけど、それとは無関係なバッグ
「非常事態宣言解除後、ひさびさに人が戻った動物園にいたトラの表情をそのままプリントしました。人が賑わっていることに喜んでいる表情になります」(梶さん)。説明を聞くとその表情にしか見えないシュールなトラとポップなカラーリングが、サンセ サンセらしいアイテムです。
さまざまなショップからオファーが殺到するのも納得のワクワク感。次から次に実現するポップアップや別注について、梶さんはどのように向き合っているのでしょうか?
「別注やコラボは、相手が喜んでくれるか、関わってくれている人たちが喜んでくれるかが基準です。ポップアップを開催する際は、直接店舗に出向き、スタッフの方々に商品説明をします。店舗の方と直接コミュニケーションを取ることを一番大切にしています。そこでしか感じられないことがあり、次の服に繋がっています」
人とのつながりを大切に、そこでのインスピレーションでさらなるスタイルを作り出す。その人柄が滲み出る【サンセ サンセ】だから、誰もが惹きつけられるのかもしれません! ぜひ手にとって、その魅力に触れてください。
※価格はすべて税込みです。
サンセ サンセ
03−3797−3673
Senior Writer:Hiroko Ishiwata