毎年春と秋に開催されるファッションの祭典SFW-Shibuya FashionWeek-。そのSFWのメインイベントとして3月15日「KANSAI YAMAMOTOが渋谷で新作コレクションショーを発表しました。内外から期待を集めるコレクションショーを統括したのが、クリエイティブチームの高谷健太氏(株式会社山本寛斎事務所代表取締役)。ファッション好きなら気になる話を高谷さんに独占インタビューしました。

30年ぶり!山本寛斎さんの世界がリアルクローズに

画像: 新生Kansai Yamamotoのコレクションショー(渋谷にて)

新生Kansai Yamamotoのコレクションショー(渋谷にて)

昨年7月、日本を代表するデザイナー山本寛斎氏が急逝。寛斎氏と言えば、日本人として初めてロンドンコレクションショーを開催し、その後もパリ・NYなど世界の最前線でショーを開催してきた日本人ファッションデザイナーのパイオニアです。そんな巨星が2020年7月に他界してから1年。残されたメゾンとスタッフたちは3月15日に渋谷で新コレクションショーを、世界に発信することを決めました。手がけるのは約23年間に渡り、寛斎さんと創作をともにしてきたクリエイティブチームの高谷健太氏。しかも、ファッションブランドでは史上初めて渋谷のスクランブル交差点でショーを撮影し、配信しました。気になる、その中身とは??(利き手:村重達也)

――KANSAI YAMAMOTOが今月SFWで復活。いま渋谷でショーをすると決めたのはなぜ?

実は(寛斎さん存命時も含めて)単独ショーの開催は92年のパリコレ以来30年ぶり。しかもそれが師匠の他界翌年の新生コレクションって。プレッシャーやばかったです(笑)。まさか自分が師のブランドを継ぐとは思っていませんでした。

でも今回、SFWからオファーをもらって、どうやら渋谷のど真ん中、今まで誰もファッションショーをやったことの無い場所(注:渋谷スクランブル交差点)でショーの撮影ができるかもしれない。そんなお話を聞いて、自然とチャレンジするしかないと思いました。師匠ならば、考える前に行動していただろうと思いまして。

――寛斎さんでも、決めていた?

頭で考えるよりも、行動する人。しかもそれを凄い次元でやるのが、師・寛斎の真骨頂。例えば、「ちょっと(服の)生地を探してくる」って言って、標高3800mのチベットに行く。高地に行くために低酸素ルームで1か月トレーニングして、チベットへ。こんなことが日常茶飯事でした。そんな寛斎なら、今回のオファーをもらったら考えるよりも先に、渋谷の街に飛び出していっただろうなと。だから、私も「やるしかない」と思いました。

――23年間、寛斎さんのクリエーションを支えた一番弟子とも言える存在が高谷さんですよね。そんな高谷さんが、どんなKANSAI YAMAMOTOを作ったのですか?

寛斎のクリエーションノートを思い出しながら、今回のコレクションのことも考えました。常々、寛斎と意識してきたのは、「主役は服ではなく着る人」ということです。デビッドボウイの衣装をデザインした時もそうです。何を作るかよりも、彼をどう演出するか。常に着る人、その人がいる場所、その人のたたずまい、ヘア・メイクなどのすべての要素の上に服がある。そこで今回も渋谷とそこにいる人の服というのを徹底して考えました。

画像: 新Kansai Yamamotoを率いる高谷さん

新Kansai Yamamotoを率いる高谷さん

kansai yamamotoがリアルクローズに⁉

渋谷の街を見ていて、今回一番気になったのは、岡本太郎さんの壁画『明日の神話』(渋谷マークシティ内・JR渋谷駅と井の頭線渋谷駅の連絡通路の壁面に掲出)でした。戦争や核実験の暴力性とそこから明日への希望を描いた作品です。今回ショーを配信する2021年3月15日というのも、東日本大震災から復興10年目、昨年の新型コロナウィルス禍からも日常を取り戻す時。私たちのメゾンも寛斎亡きあとの復興。岡本太郎さんの壁画を見たとき、そんな思いが重なりまして、今回の私たちのショーのテーマも「TOMORROW」としました。これからの希望を込めたデザインです。

師・山本寛斎を象徴する言葉は、元気・前向きだと思います。実際によく言っていた言葉は、「諦めるな。前へ前へ」。これを今回のショーでもテーマにしました。だからテーマはTOMORROW。今年3月はちょうど東日本大震災から10年、昨年のコロナ禍からの日常の復活、そして寛斎の他界から私たちのメゾンの復興。

色んな意味で未来への希望を込めた服を、渋谷を行き交う人のイメージで作りました明日への、未来への希望ということで、朝焼けの日の出をイメージしたオレンジがまずキーカラー。

ほかにも、渋谷の街の写真を私が何百枚も撮影し、それを組み合わせてグラフィック柄にしたウェアなんかもあります。渋谷の街の花「ハナショウブ」をプリントに使ったウェアや渋谷のMUSEをイメージしたデザインもあるので、配信動画でぜひチェックして下さい。

画像: SHIBUYA FASHION WEEK - SHIBUYA RUNWAY "KANSAI YAMAMOTO" www.youtube.com

SHIBUYA FASHION WEEK - SHIBUYA RUNWAY "KANSAI YAMAMOTO"

www.youtube.com
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